特集 JR西日本グループ 西日本ジェイアールバス・なにワンダー運行開始
西日本ジェイアールバスは先月中旬から2階建てオープントップバスによる大阪周遊観光バス「なにワンダー」の運行を開始した。夜間の「ナイトツーリズム」の時間帯の運行であることや、途中で下車観光が組み込まれている点が大きな特徴。同バスに乗車し、夜の大阪観光を楽しんできた。(秋元 尚浩記者)
同社では、大阪観光局が観光地づくりの一つの方向として「24時間観光都市」の実現を打ち出していることを踏まえて、約2年前に今回の周遊観光バスのプロジェクトに着手、検討は、若手社員が中心となって進められてきた。ルートづくりの面では同局の協力を得た。
また、従来の大阪の定期観光バスや周遊バスは車窓からの景観観光が中心だったのに対して、いったん観光地などで降りてもらい、消費促進につなげることも視野に入れた取り組みとなっている。
同社では「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)などを見据え、新たな観光コンテンツとして運行開始した。美しい夜景を楽しんでもらうことに加えて、散策中の食事や、乗車後の宿泊などを通じ、大阪全体の観光振興に貢献したい」としている。
使用車両は、同社が高速バス路線で運行していた2階建てバス車両の屋根を取り除いたもので、開放感があり、上部を含めて景色を堪能できる。車体には、同社の公式マスコットキャラクター「にしばくん。」と大阪の名所をイメージした絵柄をラッピングし、ワクワク感を感じてもらえるようにした。
「なにワンダー」 文字・音声ガイド導入
運行日は、今月24日までの水、金、土、日曜日。来年1、2月は金、土曜日(1月5日を除く)と、1月7日、2月11日に運行。料金は大人5000円、子ども2500円(コスモタワー展望台の入場料を含む)。新世界の一部串カツ店で使える10%割引券付き。
車内サービスの面では、フリーWi-Fiが利用できるほか、訪日客や音を聞き取りづらい高齢者のため、観光案内をスマートフォンで文字・音声で楽しめる「おもてなしガイド powered by SoundUD」も導入している。
チケットの予約申し込みは、「アソビュー!」「VELTRA」「楽天トラベル」の各ウェブサイトで、乗車日1週間前まで受け付けている。日本旅行TiS大阪支店では当日17時までチケットの購入可。
大阪駅発着 4時間、数々の名所巡る
新世界さきしまコスモタワー 下車観光も
バスは、大阪駅JR高速バスターミナルを17時30分に出発する。戻ってくるのは21時30分。4時間の旅の始まりだ。走り出して、間もなくすると大阪を代表する幹線道路「御堂筋」に入るが、ここではイチョウ並木を活用した「大阪・光の饗宴 御堂筋イルミネーション2023」が今月31日まで開催されている。
毎年恒例のイベントだが、今年は「約50年の歴史を5つの光で表現」をテーマに、北から順に「水都ブルー」「シャンパンゴールド」「ミックス」「ピンク」「パープル×ゴールド~ホワイト」のイルミネーションゾーンが並んでおり、バスもこの各ゾーンを通り抜けていく。
多くの若者らでにぎわう道頓堀橋を越えたところで左折し、西日本最大規模の電気街かつオタクの聖地である日本橋「でんでんタウン」を通過すると、最初の下車観光スポット・新世界エリアに到着する。
新世界は、高さ約100㍍のタワー・通天閣をシンボルとするとともに、大阪らしさ、昔懐かしい雰囲気が息づくエリアとして、国内外の観光客から人気を博す。特に目立つのは串カツ店や、射的が楽しめるお店で、今回はこれらを巡り、最後に「ビリケン神社」でビリケンさんの足の裏をなで幸運の訪れを祈願して、この地ならではのひとときを満喫した。
再び乗車したバスは、聖徳太子が創建した「四天王寺」などのそばに延びる谷町筋を進み、さらに高速道路を経由して、2カ所目の下車観光地「さきしまコスモタワー」へ。
同タワーは、大阪ベイエリアのランドマークとなっている高さ256㍍の超高層ビル。シースルーエレベーターと、42㍍のロングエスカレーターを利用し、55階にある360度回遊式展望台にアクセス、広がる夜景を堪能した。
この後は、バスの車上からライトアップされた大阪城などの景色を見ながら、大阪駅JR高速バスターミナルへ向かうルートとなる。バスに乗車している時間は約2時間(下車観光時間を除く)。この間、案内ガイドによる沿道のスポットなどの説明はずっと行われており、眺めた景色、訪れた地と相まって、大阪の街をこれまで以上に身近な存在にしてくれた。
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