特集 日本鉄道施設協会「第12回鉄道施設技術発表会」 土木部門・最優秀賞
■最優秀賞
令和6年能登半島地震災害復旧における3次元計測技術を用いた出来形管理の活用
大鉄工業土木本部土木技術部 善山久徳
令和6年能登半島地震によるのと鉄道災害復旧における運行再開のクリティカルとして、土砂災害箇所の復旧が挙げられた。
現場では切迫した工期や限られたリソースで工事を行う中、現場の負担軽減として初期の現場調査と現場管理の中では比較的負担の大きい出来形管理について支援を行うものとした。JR西日本と協議の上、地上レーザースキャナによる出来形管理を内製化した。
検尺テープやレベルなどの既往の計測方法だけでは不安定な地面や崖などに立ち入る必要があり、転落、落石に巻き込まれる二次災害の危険性があった。危険な場所から離れて安全の確保を行い、現況を把握することを目的として地上レーザースキャナによる3次元計測を実施し、被災範囲や土量、のり勾配や被災前の断面推定をソフトウエア上で算出した。
現場管理のうち、施工管理や工程管理は施工管理者が直接担務する必要がある。そこで現場管理に注力できるよう間接部門で実施可能な写真・出来形管理の一部を対象として支援した。
地上レーザースキャナによる計測については、レーザー照射に死角が発生しないよう器械の複数盛替えを実施して、3次元点群データを取得。傾斜面に立ち入ることなく法面全域を離れた地点から計測できた。3次元計測では項目として3次元データ整理が増えたが、人数・延べ時間とも減少しており労務時間は7割強低減された。しかし、2次元で行うしゅん功図面作成の3次元化など、3次元データの全体的な活用はじめ、労務時間などのコスト削減、計測頻度に基づいた帳票作成の簡略化などの課題も明らかになった。
今回、被災後、施工中、施工完了後の3次元計測を時系列的に実施したことで、取得したデータを維持管理・修繕工事に活用することや災害対応におけるナレッジ活用など、さまざまなメリットがあることが分かった。
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