JR西日本 空気中のCO2を回収・活用へ 弁天町駅構内で植物工場の実証事業
JR西日本と、Carbon Xtract(カーボン エクストラクト、福岡市西区)、スパイスキューブ(大阪市浪速区)の3社は3日、空気中の二酸化炭素(CO2)を直接分離・回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」技術を活用した植物工場の実証事業を、来年4月から大阪環状線弁天町駅構内で行うと発表した。「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)開催期間中に実施。CO2を回収しながら新鮮な野菜を栽培し、都市部でのCO2回収・有効活用を進めることを目指す。
カーボン エクストラクトは、空気中のCO2を回収する「分離ナノ膜技術(m―DAC)」を保有。スパイスキューブは、植物工場に特化したアグリテック系のスタートアップ企業。今回の実証事業は、大阪府の本年度「カーボンニュートラル技術開発・実証事業費補助金」に応募し、採択されている。
実証事業ではカーボン エクストラクトのm―DAC技術と、スパイスキューブが持つ植物工場の知見を組み合わせ、空気中から回収したCO2を用いて光合成を促し、野菜の成長を後押しする。
カーボン エクストラクトによると、国内外のDAC装置の主流は大型の工場のようなサイズであるのに対して、m―DAC技術は小型で場所を選ばず、空気中のCO2を回収できるとしている。小型分散型のDAC装置により、空気中から回収したCO2をその場で利活用する取り組みは世界初という。
実証期間中、弁天町駅構内で栽培された野菜は、同駅近隣の店舗やレストラン、同駅利用者向けに販売する予定。
また、CO2を体に取り込み回収する様子をイメージしたキャラクター「McDac(マクダック)」によるプロモーションも展開。JR西日本各駅構内のデジタルサイネージで映像の放映などを予定している。m―DAC技術を活用した植物工場の目指す世界観について、駅利用者らに身近に感じてもらう。
今後は、同技術を用いた植物工場を駅や都市部の各所に設置して、CO2を回収しながら新鮮な野菜を栽培。新しいCO2削減モデルの社会実装を目指す。
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