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JR西日本 高所重作業の鉄道設備メンテナンスにおける人型ロボット 本社でデモンストレーション

2024.08.15
デモンストレーション

 JR西日本は8日、高所重作業の鉄道設備メンテナンスにおける人型ロボットを活用した多機能鉄道重機について、大阪市内の同社本社敷地内で報道関係者向けにデモンストレーションを実施した。同社グループの西日本電気システムが7月20日から近畿エリアで使用を開始。導入は1台。架線支持物の塗装や樹木の伐採などに使用している。

 同重機は、鉄道工事用車両と操縦室、ブーム、人型ロボットの各部分で構成。ロボット部分は高さ約1㍍、幅約1・5㍍。車両などを含めた重量は約13・5㌧で、ブームを伸ばした場合、最大で高さ約12㍍の場所での作業が可能。ブームの先端に設置した人型ロボットを、車両の操縦室から操作して高所作業を行う。高所重作業の生産性、安全性の向上が図られている。

 デモンストレーションでは、建物の壁面に沿って塗装と樹木伐採を模した作業を行い、滑らかな動作を披露した。ツールを交換することで、多様な作業を可能にする拡張性を備えている。把持は最大40㌔まで対応する。

 一方、操縦室には空調が備えられ、乗り込んだ操縦者はヘッドマウントディスプレーを装着。ロボットの〝目線〟が捉えた映像をヘッドマウントディスプレーで見ながら、操縦者が見たい方向に頭を動かすことで視野が切り替わる。

 操縦かんを動かすとロボットに動作が伝わるほか、ロボットが物をつかむと操縦者が触感を感じられるというインタラクティブな操作感を実現した。

 操縦者はアウトリガ―を操作する必要があることから、クレーンの有資格者であることや、社内ルールの下で一定の教育訓練を行った者とする。

 JR西日本の開発担当者は「一般的な重機の場合は一つ一つの軸ごとにレバーがあり、それを操作して位置を合わせていく。一方でこのロボットは一本の操縦かんで操作でき、直感的な操作が可能であり、外からの反力を感じながら操作できるのが大きな特徴」と話していた。

 同社は、▽作業時の人手を約3割減らすなど生産性の向上▽高所作業機械化による労働災害(墜落・感電)の防止▽年齢・性別に関係なく高所重作業が可能となる多様な人財の就業環境創出――などの効果を見込む。

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