JR西日本 地元と連携 開業機運を醸成、各種施策を展開
JR西日本では、北陸新幹線金沢―敦賀間延伸開業を見据えて、地元と連携したイベントを通じた開業機運の醸成、観光地としての魅力アップに向けた施策など、さまざまな取り組みを行ってきた。
「つながる北陸」キーワードに
企画乗車券の関係では、これまで「首都圏―金沢間」で展開していた「新幹線eチケットサービス」の対象区間を敦賀まで拡大。きっぷを受け取ることなく、登録した交通系ICカード1枚で福井、敦賀まで利用可能とした。満50歳以上で入会できる「おとなび会員」限定の「おとなび首都圏往復フリーきっぷ」の出発駅なども拡大した。
新幹線延伸に伴い、近畿圏―北陸エリア間では、早期購入タイプの「WEB早特7」(利用7日前まで購入可、席数限定)、「WEB早特14」(利用14日前まで購入可、同)の設定区間・発売額を見直した。大阪―福井間の発売額は、早得7が6100円、早得14が5740円で、それぞれ通常より1190円、1550円割安となっている。
また、「WEB早特7・WEB早特14」に加えて、直前の利用にも活用できる早期購入(1日前)タイプのきっぷを近畿圏―七尾・和倉温泉・黒部宇奈月温泉に席数限定で設定した。
このほか、北陸新幹線の敦賀開業を記念して、通常の値段の半額相当のポイント数で利用できる「WESTERポイント特典きっぷ」(e5489専用)を、新たに北陸方面に設定。大阪―福井間3640ポイント(通常7290円)、同―金沢間4700ポイント(9410円)、大阪―富山間5140ポイント(1万290円)で利用できる。
中京―北陸エリア間では、早期購入タイプの「WEB早特7」、EXサービス(エクスプレス予約・スマートEX)で東海道新幹線を利用する人向けの「【EXサービス限定】乗継きっぷ」を設定した。
震災で観光客減少誘客・消費促進強化
1月1日の能登半島地震発生以降は、北陸エリアにおいては、災害復旧に大きく比重を置いて取り組みを進めてきたが、2月中旬からは震災の影響で観光客が減少している状況も踏まえて、北陸への誘客、地域での消費を促進する取り組みを強化した。
新幹線敦賀開業の告知については、北陸が新幹線でつながることから「人の移動とともに人の想いもつながっていく」という意味を込め、「つながる北陸」のキーワードを用いて展開している。
組織面では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の監査・検査対応や開業諸準備、開業後の業務を行うため、昨年8月に「白山総合車両所敦賀支所」、9月に「敦賀新幹線列車区」を立ち上げ、10月に「小松駅」「加賀温泉駅」「芦原温泉駅」「福井駅」「越前たけふ駅」「敦賀駅」「福井新幹線保線区」「福井新幹線電気区」を設置した。
運行面では、12月から北陸新幹線金沢―白山総合車両所敦賀支所間で試運転をスタートし、乗務員訓練が行われてきた。また2月3、4日には、一般向けの試乗会を開催し、一足早く新幹線による快適な移動を体験する機会を提供。参加したのは2000人。応募者は15万325人で、当選倍率は約75倍だった。
開業まで1カ月となった2月16日10時からは敦賀―金沢間の指定席発売が開始されたが、金沢発6時の下り「つるぎ1号」が約1分、東京発6時16分の同「かがやき501号」が約4分、敦賀発6時11分の上り「かがやき502号」は約4分で完売。敦賀開業の注目度の高さをうかがわせた。
今月4日には、開業日の初列車の「つるぎ1号」「かがやき502号」に乗務する運転士、車掌が新幹線敦賀駅ホームで報道関係者からのインタビューに応じ、「これまで新幹線をつくり上げてきた方々の思いとともに乗務しようという心境だ」などと抱負を語った。
開業日となるあす16日は、敦賀、越前たけふ、福井、小松駅で「かがやき502号」、芦原温泉、加賀温泉駅で「同506号」、金沢駅で「つるぎ1号」をそれぞれ対象列車として開業式典、出発式が開かれる。いずれも同社の役員が出席し、あいさつを行う。出発式は富山駅(対象列車・つるぎ3号)でもある。
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