北陸新幹線金沢―敦賀間あす開業 JR西日本・長谷川一明社長にインタビュー
地域共生の立場から沿線誘客にも注力
「経済」「文化」「人」 交流活性化に寄与
新幹線が復旧復興の原動力に
秋にオールJRでDC開催
北陸新幹線金沢―敦賀間があす16日に開業する。福井県を中心とした北陸エリアの活性化につながるものとして、大きな期待を寄せられているが、それだけに列車運行に加え、地域共生のスタンスから沿線に人を呼び込むための施策にも注力するJR西日本の取り組みに注目が集まる。長谷川一明社長に今後の抱負などを聞いた。(秋元 尚浩記者)
――北陸新幹線金沢―敦賀間が開業します。心境をお聞かせください。
長谷川 私ども、そして地域の皆さんが待ちわびていた瞬間を迎えます。同時に、能登半島地震からの復興に向けたエネルギーを運んでいく、その機運を醸成していく時期に開業することも感慨があります。
――北陸新幹線の敦賀延伸が実現することのメリットは。
長谷川 新幹線で首都圏から福井県までが一気通貫で結ばれて時間短縮になり、非常に便利になること。また、関西からも乗り換えは必要になりますが、時間短縮が図られることに意味があると考えています。
北陸圏として捉えた場合も、富山、石川、福井の3県の時間距離がぐっと縮まり、北陸エリアでの経済、文化、人の交流、つながりが深まり、活性化に寄与します。さらに北陸のより多くの方に新幹線で出掛けていただくことで、首都圏や関西との相互交流の促進にもつながります。
――利便性の面で重要な鍵を握るダイヤについては。
長谷川 速達化と、金沢―敦賀間各駅でのフリークエンシー(停車頻度)の確保という両方の要素を踏まえながら、「かがやき」から「つるぎ」までの各列車を組み合わせてつくったものです。
まずはこのダイヤで開業するわけですが、地元の方からも「かなり工夫してつくってくれた」と評価いただいています。多くのご利用につながってほしいと思っています。
――誘客促進に向けては。
長谷川 当社としては、地域での消費、経済活動を促進することも震災復興支援になると考え、先月から「つながる北陸キャンペーン」をスタートさせました。今後も地域の復旧復興の歩みと共にということになるでしょうが、積極的に施策を展開し、地域とも連携しながら、北陸エリアに多くのお客さまにお越しいただけるよう努めていきます。
敦賀開業を契機として、北陸エリアの再活性化、立ち直りが図られていく。新幹線がその大きな原動力になっていく。そうした中で、地域の皆さんとの一体化も強めていければと思っています。↙
↘――敦賀延伸を地域や観光振興につなげていく上で課題になることは。
長谷川 並行在来線を移管する第三セクターの「ハピラインふくい」、「あいの風とやま鉄道」など、鉄道事業者同士との連携も大事になってくると思います。また、私どもとしては、開業の効果をより発揮させるという観点から、新幹線から小浜線などへ乗り継いで、観光していただけるような施策にも取り組んでいきます。
――地域、交通・観光事業者、他企業と連携して準備を進めている 福井駅発着の二次交通バス「新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ!福井号」(6月1日運行開始)も関心を呼んでいます。
長谷川 AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を活用し、車内で福井の魅力を体感できるバスになります。今後の誘客に向けた取り組みでは、より楽しい形で地域との結びつきができる、そのような観光ブームをつくっていくことも大事だと思っており、XRバスもその一翼を担ってほしい。
――JR西日本グループの話題としては、福井駅高架下に新商業施設「くるふ福井駅」がオープンすることが挙げられます。
長谷川 観光のお客さまだけでなく、地元の方にも駅に来ていただく、日常使いをしていただく店づくりをコンセプトにしています。福井駅と隣合わせのえちぜん鉄道福井駅高架下には先月、屋台村がオープンしています。駅がにぎわいゾーンになっていくことを期待しています。
――敦賀開業から半年後の10~12月には、北陸デスティネーションキャンペーン(北陸DC)の開催も控えています。
長谷川 秋には、震災の影響からの復興、再生も進み、オールJRで取り組むDC開催にふさわしい状況になっているのではないでしょうか。DCに対しては、地元の方も期待を寄せています。地域の皆さんと一緒になって、よい形でお客さまをお迎えできるようにしていきたいですね。
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