交通新聞社 電子版

墨滴 8月5日付

2024.08.05

 「ドクターイエロー」引退へ――。6月の発表時には各種メディアが大きく報じた。営業用以外の鉄道車両が世間一般の注目をこれだけ浴びるのはまれだろう。人々の間にその存在は広く知られているが、目にする機会は少ない▼通称の「ドクターイエロー」が一般にも定着した新幹線電気軌道総合試験車。JR東海所属のT4編成とJR西日本所属のT5編成が交互に、約10日に一度の頻度で東海道・山陽新幹線の電気、軌道設備の状態を検測している。JR東海のホームページでも「新幹線のお医者さん」「黄色い新幹線」として紹介されている▼T4編成が来年1月、T5編成が2027年以降に検測走行を終える。車両の老朽化が理由の一つだが、〝後継車両〟は製造しない。今後はN700Sが検測機器を搭載して、ドクターイエローが担ってきた検測を引き継ぐ。営業車で検測が可能になるためだ▼両新幹線開業時から続く専用車両での検測が終わる。先月には、黄色の表紙でおなじみの職業別電話帳「タウンページ」の発行を26年3月に終了するという発表があった。スマートフォンの普及が大きいという▼鉄道と電話という社会インフラで、長年にわたり役割を果たしてきた「黄色」の引退には、時代の節目を感じる。JR東海ではドクターイエローの引退を受け、体験乗車イベントなどを通じて、レアな車両に触れる機会を設ける。

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