JR西日本 「線路設備診断システム」運用開始 在来線総合検測車「DEC741」活用
JR西日本の長谷川一明社長は18日の定例会見で、線路の保守メンテナンス手法の変革の取り組みとして、今年8月から在来線で「線路設備診断システム」の運用を開始したと発表した。在来線総合検測車「DEC741」に同システムの装置を搭載して、電化区間で運用。同車の走行に合わせて線路設備を測定し、検知した不具合を現場区所に配信することで、適切な保守につなげていく。
同社は、「グループ中期経営計画2025」に基づく五つの重点戦略の一つに、「主要事業の活性化と構造改革(鉄道事業・グループ事業)」を掲げており、この一環として保守メンテナンス手法の変革に挑んでいる。
線路設備診断システムは、車両に搭載したカメラとレーザーによって、線路設備の不具合を網羅的かつ均一な品質で検知する。レールを固定する部品の脱落やマクラギの亀裂などをカメラで観測。レールとレールを接合している継ぎ目板自身の亀裂やボルトの脱落を自動で検出する。
また、画像などの取得と線路設備の不具合検出処理を同時に実施することで、将来的に不具合となり得る事象を短期間で現場区所に配信する。
これまでは、線路状態の確認として、定期的に徒歩による巡視を行っているが、同システムの導入により、線路構造が均一なロングレール構造区間における巡視の回数を、運用以前の2週間に1回の頻度から4週間に1回へと半減を実現した。
DEC741は2022年4月に運用を開始。電気式気動車2両編成で、最高時速100㌔。クモヤ443系電気検測用交直流電車の置き換え用車両で、測定頻度は年3回。
会見で長谷川社長は「今回の取り組みは保守業務そのものの生産性向上に資するもので、持続可能な鉄道事業の実現に寄与すると考えている。引き続き技術開発を進め、取得する画像の精度や診断精度の向上を図り、安全性、生産性の向上に一層寄与できるよう取り組んでいく」と述べた。
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