JR東日本 22年度グループ設備投資計画
連結で6340億円 安全性、収益力を向上
JR東日本は4月27日、2022年度のグループ設備投資計画を発表した。大規模地震対策など安全性向上のための投資を着実に進めるとともに、それを基盤として収益力向上に資する投資を実施。地方創生や脱炭素社会の実現、業務改革などのスピードアップを図る。設備投資額は、連結が6340億円(前年度実績比約1140億円増)、単体が5000億円(740億円増)。
同社グループでは、輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの3事業による相乗効果を引き出す投資を実行。利用者や社会に新たな価値を提供することで、グループ理念に掲げる「すべての人の心豊かな生活」の実現を目指す。
連結投資額の内訳は、輸送サービスが4220億円(694億円増)、生活サービスとIT・Suicaサービスが2120億円(447億円増)。
輸送サービスは、「究極の安全」を追求するため、大規模地震対策や新幹線降雨防災対策を進めるほか、踏切事故防止対策や運転保安装置整備拡大などの安全対策を着実に実施。ホームドアは、京浜東北線日暮里、中央・総武緩行線飯田橋、南武線登戸の各駅などで使用を開始する。
輸送サービス変革では、24年春営業開始予定の山形新幹線用E8系新幹線車両を新造し、東北新幹線盛岡―新青森間と上越新幹線大宮―新潟間のスピードアップに向けた工事を推進。ワンマン運転の拡大や、BRT(バス高速輸送システム)自動運転への対応にも取り組む。
中央快速線のグリーン車導入では、グリーン車両の新造計画が世界的な半導体不足の影響を受けているため、23年度末のサービス開始予定が少なくとも1年程度遅れる見込みとなった。具体的なサービス開始時期については決まり次第発表する。
このほか、地域社会への貢献・サービス品質改革として、駅の改良工事や新潟駅在来線全線高架化(6月)、ICカード遠隔精算の実用化に向けた検証を行う。
地球温暖化防止・エネルギーの多様化では、二酸化炭素(CO2)排出量削減につながる設備投資を促進するため、「社内炭素価格」の適用範囲を拡大する。
一方、生活サービス関連では、複合型まちづくり「MEGURO MARC」で賃貸住宅棟が10月に竣工(しゅんこう)。品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)の「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」などのまちづくりを進める。
沿線価値向上として、東京駅「グランスタ八重北」などのエキナカリニューアル、駅ビルやホテルの開発、シェアオフィス事業「STATION WORK」の展開を推進。「いわき駅南口ホテル開発」(22年度冬開業)や、「盛岡駅東口地方創生賃貸マンション」(来年春入居開始予定)など、地方中核都市の魅了向上も図る。
IT・Suicaサービスでは、MaaS(マース)の利用エリア拡大や、JR東日本アプリ、「Ringo Pass」の開発を継続。グループ共通ポイント「JRE POINT」のサービス充実を進める。地域連携ICカードは、今月に山形・庄内エリアで、来年春に宇都宮エリアのLRT(次世代型路面電車)でサービスを開始する予定。
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