JR東日本 サブスクサービス「JREパスポート」スタート、新幹線荷物輸送トライアル 大宮駅到着で実施へ
駅飲食店など定額利用サービス
JR東日本の深澤祐二社長は6日の定例会見で、駅を「交通の拠点」から「暮らしのプラットフォーム」へ転換を図る「Beyond Stations構想」の具体策として、新たなサービスを行うと発表した。同日から通勤定期利用者向けに、コーヒーや駅そば、ボックス型シェアオフィス「STATION BOOTH」を定額利用できるサブスクリプションサービス「JREパスポート」のトライアルを開始。今月30日からは、上越新幹線と東北新幹線上り列車を活用した荷物輸送で、大宮駅到着の臨時列車による輸送トライアルを実施する。
同構想は今年3月に発表したもので、グループ経営ビジョン「変革2027」で掲げる「くらしづくり」の実現に向けて、駅をビジネスの発信拠点へと変革し、新たな収益確保と価値創造の実現を目指す。同構想を象徴的に体現するモデル駅として、上野、秋葉原、八王子駅を整備する。
JREパスポートは、同社エリア内の通勤定期券をSuicaで所持している人が対象。上野、秋葉原、八王子3駅の「BECK 's COFFEE SHOP(ベックスコーヒーショップ)」(八王子店は15日オープン)のコーヒーと、「いろり庵きらく」の駅そばで実施。コーヒーは月額2500円(マイボトルプランは1500円)で1日3回までMサイズの1杯300円のコーヒーを無料で提供。そばは月額1000円で80~130円のトッピングが1日1回無料になる。
シェアオフィスは、STATION BOOTH全施設を15分利用できるチケット10枚セットを月額1500円で用意。60分5枚3000円、2時間8枚6400円のプランもある。最初の1カ月間は無料。事前予約は不可。
同パスポートの実施期間は9月30日まで(販売終了は8月31日を予定)。オンライン上のクレジットカード決済で、1カ月単位で決済し自動更新される。トライアル結果を検証して、本格導入に向けた検討を進める。
将来的には、特急やグリーン車などの輸送サービス、シェアサイクルなどのモビリティーサービス、スポーツジムなど、さまざまなサービスを自由に組み合わせられるシームレスなオンデマンドサービスのプラットフォームを目指す。
新幹線荷物輸送トライアル 1回当たり100箱程度の輸送実現
一方、大宮駅までの臨時輸送トライアルは、新鮮な商品を都心近郊の物流拠点エリアである同駅まで輸送してほしいとの要望に応え、同駅を終着とする臨時列車を設定。商品は車販準備室ではなく、客室内の座席と座席の間のスペースで専用の台車に積むことで、1回当たり100箱程度の輸送を実現する。
ジェイアール東日本物流が荷主から輸送の発注を受け、列車を活用した輸送をコーディネート。今月30日と8月5日は上越新幹線の臨時列車「とき10号」(新潟発11時4分、大宮着12時42分)の10号車を荷物専用車両として使用。30日は黒埼茶豆や笹だんご、日本酒など約60~70箱と鮮魚類約30~40箱をさいたま市内の小売店舗などへ輸送する。10号車への旅客の乗車は不可。指定席の発売などは別途発表する。
東北新幹線では8月23日に新青森―大宮間の臨時列車を設定して、鮮魚・果物類など合計約100箱を輸送する予定。
駅構内のオペレーションなどの検証を通じて、大宮駅までの荷物輸送の課題を整理し、今後の事業化を目指す。
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