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JR九州など BRTひこぼしライン 水素バスの実証運転を28日開始

2023.11.17
FCバスの前でテープカットする古宮社長(右から6人目)、服部知事(同7人目)ら

 JR九州と福岡県、Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT、東京都文京区)は28日から、日田彦山線BRTひこぼしラインで、次世代エネルギーの水素を活用した燃料電池バス(FCバス)の実証運転を開始する。実証運転は2025年春までを予定し、生活に身近な地域交通利用を通じて水素への理解を深めるとともに、FCモビリティー導入の可能性を検証し、グリーン交通実現に向けた地域公共交通の選択肢拡大、沿線地域の振興につなげる。

 同県は、カーボンニュートラル実現に向けた水素社会構築を目指し、昨年12月にCJPTと「水素社会実現に向けた商用FCモビリティ普及に関する連携協定」を締結。その第1弾として、JR九州との3者で実証運転に取り組む。

 BRTひこぼしラインは添田―日田間(約40㌔)を運行。JR九州では電気バス4台、ディーゼルバス3台を運用しているが、より環境にやさしい交通機関を目指し、同県の取り組みに参画した。

 今回の取り組みでは、同県が全体調整や実証運転の環境整備に向けたサポート、CJPTがFC小型バスの開発企画、実証車両のコーディネート、JR九州が実証車両の運転を担う。

 車両はトヨタ自動車製のFC小型バス(FCコースター)で、全長6・99㍍×全幅2・12㍍×全高2・62㍍。FCEV「MIRAI」第2世代FCシステムを活用し、走行中の二酸化炭素(CO2)排出ゼロの高い環境性能を誇る。座席数14席。

 搭載する水素タンクは圧縮水素を約10㌔まで充填(じゅうてん)可能。酸素と水素を燃料電池(発電装置)に取り込み、化学反応で発電した電気でモーターを駆動させるとともに、バッテリーに充電する。満タン時で平均380㌔走行できる。

 実証運転は、同県宮若市の水素ステーションを活用し、毎週火・木・日曜日に添田―日田間を1日1往復する。ダイヤは平日が添田発9時40分、日田発12時49分、日曜日が添田発12時50分、日田発15時15分。年内は12月17日までの9日間で、来年1月以降の運転日は同ラインのホームページで案内する。

 FCコースターは、一部のスクールバスなどに運用されているが、乗合バスとして運行するのは全国初の試み。国内の都市部を中心に活躍するFCバスが、同ラインの勾配のある山間部を走ることで、新たなデータや知見の獲得が期待される。

 15日には福岡市内で同バスのお披露目式が開かれ、古宮洋二JR九州社長、服部誠太郎福岡県知事、中嶋裕樹CJPT社長、「九州の自立を考える会」会長の藏内勇夫同県議らが出席した。

 服部知事は「水素は2050年のカーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーとなる。ぜひFCバスにたくさんの皆さまが乗車され、未来の水素社会を体感していただきたい」とあいさつ。

 続いて、古宮社長が「『ひと、地域、みらいにやさしい』がコンセプトのひこぼしラインでは、電気バスを導入して環境問題に取り組んできたが、今回新しいアイテムが加わった。山間部を走る実証運転を通じて、今後のFCバスの可能性を検証していきたい」と語った。この後、テープカットを行い、28日からの実証運転開始を祝った。

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