国土交通大臣 JR長崎線など5件 鉄道事業再構築実施計画を認定
養老、宮福・宮津、信楽、高森も
国土交通省は2月29日、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(地域交通法)」第24条第2項に基づき申請のあった5件の鉄道事業再構築実施計画について、国土交通大臣が同日付で認定したと発表した。各実施計画では、地方公共団体などによる支援や利用者の利便性の確保に関する取り組みを行うことにしており、計画が実現すれば各路線の利便性や持続可能性が向上。対象路線では社会資本整備総合交付金を活用できるようになる。
対象路線は、養老鉄道養老線(申請者=養老線管理機構、養老鉄道、沿線7市町)、北近畿タンゴ鉄道宮福線・宮津線(北近畿タンゴ鉄道、WILLER TRAINS、京都府、兵庫県、沿線7市町)、信楽高原鐵道信楽線(滋賀県甲賀市、信楽高原鐵道)、JR九州長崎線(JR九州、佐賀・長崎鉄道管理センター、佐賀県、長崎県、沿線5市町)、南阿蘇鉄道高森線(南阿蘇鉄道、南阿蘇鉄道管理機構、熊本県、高森町、南阿蘇村)の全5路線。
このうちJR長崎線(江北―諫早間、60・8㌔)は、2022年9月の西九州新幹線開業に合わせて、JR九州が運行と車両の保有を担う第二種鉄道事業者、佐賀・長崎両県が設立した同管理センターが鉄道施設と土地を保有する第三種鉄道事業者として鉄道事業を行う上下分離方式を導入。
22年度の同区間の輸送密度(上下分離前も含む)は3078人。再構築実施計画の期間は今月10日から32年3月末までの約8年間で、同区間の利便性・持続可能性を向上させる。
地方公共団体その他の者による支援の主な内容は、▽佐賀・長崎両県が管理センターに鉄道用地を無償貸与▽両県が設備投資費、保守管理費などを管理センターへ負担金として拠出▽管理センターは譲渡を受けた鉄道施設の保守管理を行い、JR九州が無償使用――する。
利用者利便の確保に関する主な事項は、①利便性向上(駅ホームを集約して利用者の移動経路の効率化、駅周辺整備や駅へのアクセス向上のための新改札口整備など)②利用促進(駅や駅前広場などを活用した沿線イベント開催や企画列車の運行など)③安定的な運行――で、事業費は計88億円。①と②の一部については社会資本整備総合交付金を活用する予定。
再構築事業の効果として、上下分離方式の導入により、長崎線沿線の地域住民の生活の持続的な確保と地域資源を活用した魅力ある地域づくりを実現。併せて、企画列車の充実や地域団体と連携したイベント開催などによる利便性を確保する。
利用者数は、計画最終年度の31年度で22年度とほぼ同じ1日1万6390人を見込み、第二種鉄道事業者と第三種鉄道事業者が一体となった事業収支の均衡を図る。
なお、養老線、宮福線・宮津線、信楽線、高森線の4件については、認定期間中の計画変更(信楽線は以前認可を受けた路線に関する再認定)として、利用者の利便の確保に関する事項を追加した。主な内容は、それぞれ鉄道施設の更新・改良の着実な実施、地域と連携した利用促進・増収施策など。
改正地域交通法に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定は、今年2月8日付で認定されたJR城端線・氷見線を含め、これで合計6件となった。
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