交通新聞社 電子版

墨滴 7月16日付

2024.07.16

 トラックの荷台などが鉄道橋りょうの橋桁に衝撃する事故が、JR九州管内では年間30件以上発生している。一度起こると現地の安全確認など多大な時間と労力を要するだけに、さまざまな対策を講じているが件数は横ばい状態。原因は思わぬところにあったようで▼事故発生時の聞き取り調査によると、「初めて通った」「ナビの通りに来ただけ」と話すドライバーも少なくない。ナビを妄信して高さ制限を確認しないとはあきれるしかないが、現場担当者はそこに注目した▼そこで複数の職場が協力して、カーナビに地図情報を提供する企業やグーグルマップに対し、高さ制限(3・5㍍以下)があり、過去に衝撃事故が発生した53橋りょうをルート案内の対象から除外するよう要請。粘り強い協議の末、グーグルマップでは53橋りょう全てで案内の優先順位を下げ、極力迂回させるようにした▼さらに、過去に脱輪が起きた踏切67カ所も除外を要請しており、JR九州では今後も要注意箇所の追加要請を続ける方針だ。カーナビも順次対応するとの前向きな回答を得たそうで、数年かかるだろうが徐々に効果が期待される▼本年度から、事故が頻発する一部の橋りょうにカメラを設置し、通報を受けてからの迅速な現地確認による列車運転遅延の抑制を図っている。こうした新たな視点や取り組みが、輸送サービスの改善につながることを願う。

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