JR九州 熊本市、住友商事とカーボンニュートラル実現に連携協定
熊本市とJR九州、住友商事、住友商事九州の4者は7日、カーボンニュートラルの実現に向けた連携協定を締結した。3社が出資する「でんきの駅合同会社」が同市内で蓄電事業を推進しており、同市域の「2050年カーボンニュートラル」に資することが主な理由。
同市は、20年1月に熊本連携中枢都市圏を構成する市町村と共同で「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、21年3月に地球温暖化対策実行計画を策定。再生可能エネルギー導入や省エネ推進、電気自動車(EV)の普及拡大、公共交通機関の利用促進などに取り組んでいる。
これに対し、3社は昨年4月に蓄電事業の案件開発、蓄電アセットの構築・保守管理を担う「でんきの駅」を設立し、JR九州が管理する鉄道沿線地や遊休地における蓄電事業に着手。第1号案件として、同市南区川尻地区に蓄電ステーションを設け、24年度から系統用蓄電事業や地域エネルギーサービスなどを開始する。
連携協定の内容は①再生可能エネルギーの普及拡大②省エネ推進③地域の脱炭素化を通じたレジリエンス強化④EVの普及拡大⑤公共交通機関の利用促進⑥防災教育と地域の担い手育成。
3社の蓄電事業は、③のレジリエンス強化に関する具体的な取り組み。蓄電ステーションはEVリユースバッテリーを活用し、電力安定化を通じて再生可能エネルギーの普及拡大に寄与するとともに、災害など非常時における地域への電力供給に貢献する。
このほか、JR九州関連では、同社施設への再エネ導入や車両の省エネ化、駅前など同社用地を活用したEV充電スタンド整備などの取り組みを進める。
同日は同市役所内で締結式が開かれ、大西一史市長、古宮洋二JR九州社長、北島誠二住友商事執行役員、髙橋和之住友商事九州社長が協定書に署名した。
この後、大西市長は「熊本地震を経験し、災害に強いまちを構築することが大きなミッション。エネルギーの安定的な確保、ライフラインの強靭(きょうじん)化を進める中で、今回の協定締結は大変心強く、また今後の温暖化防止に対する取り組みに弾みがつくと期待する」とあいさつ。
古宮社長は「これまで太陽光発電事業や省エネに対する努力を行っているが、蓄電事業は地元に貢献し、カーボンニュートラルの取り組みの第一歩となる。川尻地区での事業開始をきっかけに、熊本市をはじめ各地に蓄電事業を広げていきたい」と述べた。
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