JR九州 新D&S(観光)列車「かんぱち・いちろく」デビュー
ゆったり、ぜいたくな鉄道旅提供
JRグループ旅客6社と福岡、大分両県が6月まで展開している大型観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」(福岡・大分DC)の目玉として、JR九州の新しいD&S(観光)列車「かんぱち・いちろく」が4月26日、久大線経由の博多―別府間で運行を開始した。「ゆふ高原線(久大線)の風土をあじわう列車」をコンセプトに、同線がつなぐ福岡、大分両県の素材を使った内装や食事、地域のおもてなしが魅力。同区間を約5時間で結び、ゆったり、ぜいたくな鉄道の旅を提供する。
列車は気動車3両編成で、1、3号車はキハ47形、2号車はキハ125形を改造。デザインは、同社が駅のにぎわい創出に取り組む「九州 DREAM STATION」の第1回協働パートナーで、日豊線霧島神宮駅のリニューアルを手掛けたIFOO(鹿児島市)が初めて担当した。
月・水・土曜日に博多発の特急「かんぱち」、火・金・日曜日に別府発の特急「いちろく」として毎週6本運転。「かんぱち」は久大線田主丸、恵良の各駅、「いちろく」は天ケ瀬、うきはの各駅が〝おもてなし駅〟として、地元による歓迎や特産品販売などが行われる。
食事は福岡市と大分市の飲食6店舗が各曜日ごとに担当し、地元食材を使った料理を提供。大分県日田市名産の日田杉を使い、福岡県東峰村の小石原焼の陶板をあしらったオリジナル重箱に詰める。
外観は艶のある黒を基調に、3両にわたって側面に引いたゴールドのラインで久留米―大分間の路線図を表現。車内は、1号車がソファ席(3人掛け)、3号車がボックス席(2~4人掛け)を中心に配置し、靴を脱いで利用する畳個室2室(定員6人)も備える。
座席テーブルなど随所に各県産の杉材を使用。2号車の「ラウンジ杉」は樹齢約250年の杉の一枚板を使ったカウンターテ―ブルを設け、幅約2・5㍍の大きな窓から自然豊かな沿線の景色を堪能できるようにした。
列車名は、久大線全線開通の実現や現在の久大線を形作ることに尽力した舟来屋(現・八鹿酒造)3代目の麻生観八氏と、旧大分県農工銀行頭取の衞藤一六氏に由来する。
全席を旅行商品として発売し、ボックス席・ソファ席が2人以上利用、食事付きで大人1万8000円(子ども1万5000円)、畳個室は4人以上利用で2万3000円(1万9000円)。ボックス席1人利用は1万円追加。
26日は別府駅3番線ホームで運行開始記念式典が開かれ、JR九州の古宮洋二社長、福永嘉之取締役・常務執行役員・鉄道事業本部長、久野和代執行役員・大分支社長、荒巻良考駅長、来賓の佐藤樹一郎大分県知事、江口勝福岡県副知事、八幡秀樹IFOO社長、麻生益直八鹿酒造社長、衞藤一六氏のひ孫・衞藤道哉氏らが出席した。
古宮社長は「地元の方々の協力をいただいて、本日の運行開始を迎えることができた。心より感謝申し上げる。約5時間の長い旅を楽しめる企画を考えながら、両県のみならず九州、日本全国、インバウンドの方々に親しまれる列車を目指したい」とあいさつ。
続いて、佐藤知事が「列車の運行により福岡・大分DCがさらに盛り上がることを期待する」、江口副知事が「福岡と大分の魅力が感じられる列車が誕生し、大変ありがたい」と祝辞を述べた。
出席者による鏡開きの後、荒巻駅長と麻生、衞藤両氏の3人が出発合図を行い、「いちろく」が博多に向けて動き出した。
翌27日には博多駅4番線ホームで、加藤邦忠駅長、八幡社長が出席して「かんぱち」初列車の出発式が行われた。
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