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鉄道・運輸機構 北海道新幹線 30年度末開業困難に

2024.05.10

 藤田理事長 斉藤国交相に報告

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構の藤田耕三理事長は8日に国土交通省を訪れ、斉藤鉄夫国土交通大臣に対し、予定していた北海道新幹線新函館北斗―札幌間の2030年度末完成・開業の目標達成が極めて困難であると報告した。現時点で新たな完成・開業時期を示すことは困難とした。

 同区間(工事延長211・9㌔)は約8割をトンネルが占めるが、地質不良やトンネル発生土のうち重金属を含む対策土の割合の高さ、発生土受け入れ地確保の難航、羊蹄トンネル掘削時の岩塊除去などで工期がずれ込んでいた。22年公表の「北海道新幹線(新函館北斗―札幌間)の整備に関する有識者会議」の報告書でも、3、4年程度遅れている工区が存在するものの、工程の工夫などを協議中で工期を見通すことが困難とされていた。

 同日は、藤田理事長が斉藤大臣に工事の現状と見通しを報告。有識者会議での報告書内容に加え、岩塊や地質不良への対策、働き方改革に伴う労働時間短縮なども重なり、開業目標達成が極めて困難と判断したこと、新たな開業目標についても地質不良の状況や軌道・電気工事の調達・入札状況などを見極める必要から、具体的に示すことが困難であることを説明した。引き続き工程の短縮に取り組み、一日も早い開業に向けて最大限努力することも伝えた。

 大臣からは▽全体工程の改めての精査▽今後の開業目標見通しについての検討作業への対応▽一日も早い完成・開業を目指すための工期短縮の検討▽地元自治体など関係者への丁寧な説明――などを行うよう、同機構と同省鉄道局に指示が出された。

 同省ではきょう10日に、22年に報告書を公表した有識者会議の第6回会合を非公開で開催し、工期の見通しの検討などを行う。

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