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連載 北陸新幹線金沢-敦賀間 工夫凝らした建設工事 鉄道・運輸機構 ①福井駅高架化工事

2024.02.20
北陸新幹線福井駅部の高架上に設けられたえちぜん鉄道の仮駅舎(2015年9月)=鉄道建設・運輸施設整備支援機構提供=

 三つの高架化、一体施工

 狭いエリアで効率的に

 3月16日の北陸新幹線金沢―敦賀間延伸開業まで残りあと1カ月を切った。首都圏と福井・敦賀が新幹線で直結され、関西方面との所要時間も短縮。都市間輸送を通じて観光振興や地域の活性化、経済発展への寄与が期待される。同区間は鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が建設主体となり、2012年6月に着工。以来約10年の間、工法面でさまざまな工夫を凝らして施工を進めてきた。特徴的な構造物を中心に工事の内容を紹介する。(卜部 正太記者)

 

 延伸区間(工事延長114・6㌔)は、平地を走る区間が比較的長く、橋りょうや高架橋といったトンネル以外の「明かり構造物」の距離が、他の整備新幹線と比べて長い点が特徴。区間内には、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の6駅が新たに開業する。

 このうち、福井駅は全国の新幹線で唯一となる1面2線の島式ホーム。JR北陸線、第三セクター・えちぜん鉄道の高架化工事で先行整備していた新幹線構造物を活用して、福井県、福井市の土地区画整理やまちづくりのプロジェクトと一体になって施工を進めた。

 えちぜん鉄道(当時は京福電気鉄道越前本線)の東側に仮の線路を敷設して1997年3月に同線を切り替え、これまで同線が走っていたところにJR北陸線の仮線を敷設。その後、従来のJR線の場所に高架本体を建設して2005年4月、JRの高架切り替えを完了した。

 同月に北陸新幹線福井駅部(約800㍍)の認可を受け、JRの仮線があったところに新幹線の高架を建設。えちぜん鉄道は15年9月、先行整備された北陸新幹線福井駅部の高架上に仮線を敷設して切り替えた。開業前の整備新幹線の高架橋を利用した地域鉄道の運転は全国初の取り組みだった。

 その後、新幹線高架の東側に同鉄道の高架本体を建設し、18年6月にえちぜん鉄道の高架切り替えを完了。仮線を撤去して、ここに北陸新幹線福井駅を整備した。鉄道・運輸機構がえちぜん鉄道の高架橋工事も受託し、一体的な施工を通じて、狭いエリアでの三つの高架化を迅速かつ効率的に実現した。

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