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鉄道・運輸機構 北海道新幹線渡島トンネル上二股工区 「4G LTE」通信エリア化を実現

2024.08.15
切羽掘削面の映像をトンネル坑外の事務所とやりとりする様子(鉄道建設・運輸施設整備支援機構提供)

 auのソリューション活用

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構と清水建設(東京都中央区)、KDDI(同千代田区)は、清水建設が施工中の北海道新幹線渡島トンネル(上二股工区)で、衛星通信サービス「Starlink」を使ったauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」をトンネル坑内で活用して、「4G LTE」の通信エリア化を実現した。同ソリューションによりトンネル坑内の工事現場へ通信環境を構築した事例は国内初。

 3者は2022年12月に、同ソリューションで渡島トンネル坑外の工事現場の通信エリア化を行い、労務・安全管理や情報伝達の効率化・即時性を実現した。一方、最前線のトンネル坑内のセルラー通信のエリア化には至らず、重大事故の発生リスクが高い切羽(トンネル掘削の最先端箇所)で外部への緊急連絡ができないことや、坑外と切羽掘削面の確認を行うため、移動環境が悪い工事中の坑内との往復を要するなどの課題があった。

 従来、トンネル坑内の通信環境はWi―Fi機器で構築してきたが、大型工事機械による遮蔽(しゃへい)の影響で通信エリアが数十㍍程度と狭いことや、長いトンネル坑内の全体をカバーするために必要な機器数が多くなり、設置・メンテナンス作業が煩雑になっていた。また、アンテナ設備などの設置場所に制限があり、切羽から200㍍の範囲には通信環境を構築することができていなかった。

 今回、先行してトンネル坑外の通信エリア化に使用した設備から、光ケーブルで4G LTEのアンテナをトンネル坑内に延伸して通信環境を構築。切羽付近も含めた坑内で、緊急通報を含めた音声通話やデータ通信が可能となり、緊急対応時の関係者との迅速な連絡や高解像度の映像伝送による施工立ち会いの遠隔臨場など、ICT(情報通信技術)活用の飛躍的向上が期待される。

 同ソリューションによるトンネル坑内の対策は、Wi―Fiによるエリア化と比較して設置機器数が少なく、設置コストを3分の1程度に抑えられることや、保守メンテナンス性が高いことから本格導入に至った。

 今回の取り組みにより、労務管理の効率化や施工管理・検査のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進で労働時間の削減を図り、建設業の「2024年問題」の解決にも寄与する。

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