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JR西日本 「特発音声支援装置」整備、岡山・広島圏などに拡大 踏切での衝突事故回避

2024.05.29
画像認識を活用した「特発音声支援装置」。左がカメラ、右が制御器(JR西日本提供)

JR西日本は24日、「特殊信号発光機」(特発)の発光をカメラの画像解析の活用により識別して検知し、運転士に音声で注意喚起する「特発音声支援装置」の整備を拡大すると発表した。踏切の安全を維持する鉄道システムの充実を図った取り組みの一環。2023年度から岡山エリア16両と福知山エリア8両の計24両で先行導入を行い、良好な結果が得られたことから、岡山・広島都市圏などに拡大する。鉄道業界で高解像度カメラを活用した踏切状態の検知・支援システムを導入するのは初めてとなる(特許登録済み)。

 同社では、23年に策定した「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」の中で、踏切安全の取り組みにおいて、大型車が踏切に停滞していることを列車の運転士に音声で知らせる装置の整備を掲げている。

 特殊信号発光機は、踏切などで列車運行に支障を与える事態が発生したことを、走行する列車の乗務員に伝えるために地上に設置している踏切保安装置。

 特発音声支援装置は、列車の先頭部に設置したカメラ映像から特発の点滅を識別して検知し、「前方注意!」と音声で呼び掛ける「画像認識方式」と、踏切の異常を検知した場合、無線を通しておおむね周囲1㌔圏内に位置する列車の運転士に「前方注意!」と音声で呼び掛ける「無線発報方式」の2種類がある。

 同装置の整備対象は、大型車が通行し、かつ▽当該線区を走行する列車の最高時速100㌔超▽区間別平均通過人員が1日当たり1万人以上▽大型車の交通遮断量が一定の水準以上――の3項目のうち、いずれかを満たす踏切。管内の約890踏切が対象。

 整備対象の内訳は、従来の無線発報方式が京阪神エリア約330踏切、その他エリア約100踏切の計約430踏切。画像認識方式が、岡山・広島都市圏約200踏切(普通列車約400両)、その他エリア約260踏切(特急など約200両)の計約460踏切。

 画像認識方式は、高解像度カメラの画像解析を活用して特発の赤色点滅を検知する仕組みで、日本信号(東京都千代田区)と共同開発。19年度から試験を開始した。

 本年度から27年度末にかけて、岡山・広島都市圏やその他エリアで対象車両の約6割に当たる約360両に画像認識方式の同システムを搭載する。さらに28年度から32年度にかけて約220両に追加する。

 一方、無線発報方式は、既に約250踏切で整備済みで、本年度から27年度にかけて約140踏切に導入し、整備率は約9割を目指す。28~32年度は約40踏切に追加する。

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