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JR西日本 「多機能鉄道重機」を導入 高所作業の機械化で生産性・安全性向上

2024.07.01
重機のロボット部分を披露する長谷川社長

 今月下旬、京阪神地区で

 JR西日本の長谷川一明社長は6月27日の東京地区会見で、高所重作業の鉄道設備メンテナンスで、人型ロボットを活用した多機能鉄道重機の使用を開始すると発表した。ブームの先端に設置した人型ロボットを、鉄道工事用車両に搭載した操縦室から操作して高所作業を行うもので、高所重作業の生産性、安全性が向上する。同社グループの西日本電気システムが今月下旬ごろから、京阪神地区で架線支持物の塗装や樹木の伐採などに使用していく。

 多機能鉄道重機については、将来の人手不足を視野に、高所で人が行うメンテナンスに対応した汎用(はんよう)性の高い作業用機械を目指し、2020年から人機一体(滋賀県草津市)、日本信号(東京都千代田区)と開発を進めてきた。

 同重機は、鉄道工事用車両と操縦室、ブーム、人型ロボットの各部分で構成。ロボット部分は高さ約1㍍、幅約1・5㍍。車両などを含めた重量は約13・5㌧で、ブームを伸ばした場合、最大で高さ約12㍍の場所での作業に対応する。

 ロボットがものをつかむと、操縦者が触感を感じられるなどのメリットがあるバイラテラル制御方式を採用。操縦はヘッドマウントディスプレーを装着し、見たい方向に頭を動かすことで視野を切り替え、操縦かんを動かしてロボットに動作を伝える仕組み。インタラクティブ作用で直感的な操作ができることが特徴となっている。

 作業時は、ロボットの2本の腕部分に、チェーンソーやインパクトレンチといったツールを取り付ける。ツールを交換することで、多様な作業を可能にするなど汎用性を高めた。把持は最大40㌔まで対応する。

 JR西日本では、▽作業時の人手を約3割減らすなど生産性の向上▽高所作業機械化による労働災害(墜落・感電)の防止▽年齢・性別に関係なく高所重作業が可能となる多様な人財の就業環境創出――などの効果を見込む。

 導入は1台で、当面は塗装と樹木伐採に使用。今後、ツールを増やし、点検や部品交換など活用の幅を広げていく方針としている。

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