交通新聞社 電子版

特集 JR東日本、鹿島建設など 「世界貿易センタービルディング本館・ターミナル」建て替えプロジェクト

2024.08.21
ステーションコアの1階部分(世界貿易センタービルディング提供)

 浜松町が日本と世界つなぐ 乗り換え 格段に向上

 本館、ターミナル棟 建設

 世界貿易センタービルディング、鹿島建設、JR東日本、同社グループの東京モノレールが浜松町駅西口エリアで進めている「世界貿易センタービルディング本館・ターミナル」の建て替えプロジェクト。計画ではホテル、オフィス、商業施設から観光プレ体験施設まで多種多様な機能を導入し、「浜松町が日本と世界をつなぐ〝一歩目〟」として整備する。(秋元 尚浩記者)

 

 日本初の「ラッフルズ」

 プロジェクトは、2021年に先行開業した南館に加えて、「本館」「ターミナル棟」を建設する。併せて、東京モノレール浜松町駅の建て替え工事も進められている。27年3月以降に一部開業し、以降順次開業予定。7月22日には、南館でマスコミなどを対象とした「世界貿易センタービルディング構想発表会」が開かれた。

 

 芝離宮を望むオフィス

 本館は地上46階・地下3階建て、高さ約235㍍。用途は、36~46階がホテル、7~34階がオフィス、5 階にワールドメディカルセンター、2階に観 光プレ体験施設、キッズセンターが入る。

 このうちホテルは、欧州最大手のホテルグループ・アコー(フランス)の最高級ラグジュアリーブランド「ラッフルズ」が日本に初進出し、「ラッフルズ東京」として28年に開業予定。

 60平方㍍以上のゆったりとした客室130室のほか、バー、屋内プール、レストラン、スパなどを完備する。

 オフィス階は7階にオフィスロビー、9~34階に1フロア約2800平方㍍の最新鋭のオフィスを整備する。オフィスロビーは、明るく開放的で、東側の旧芝離宮恩賜庭園に向かって視線が誘導されるような空間デザインとなる。

 

 多言語対応の医療機関

 ワールドメディカルセンターは、健診施設、内科、眼科、歯科の各診療科目を備え、近隣に住む人やオフィスワーカーの人たちに日常使いしてもらえるものとする。観光プレ体験施設は、「観光」や「名産品」をテーマにした体験型コンテンツによって、現地への訪問意欲、日本への再訪意欲の喚起を図る。キッズセンターもワールドメディカルセンター同様、多言語対応でさまざまな国籍の子どもの一時預かりを行う。

 ターミナル棟は、地上8階・地下3階建て、高さ約55㍍。3~5階に商業施設、6~7階にカンファレンス、7階に屋上庭園を設ける。

 商業施設は、JR東日本グループのアトレによる運営を予定。外観に各フロアの活気を表現するファサードデザインを採用し、隣接する中央広場空間のにぎわいにも寄与していく。

 

 多種多様な機能導入

 カンファレンスは、国際会議に対応した国際ホール&カンファレンス機能を整備。コンベンション、展示、会議機能だけでなく、街区内のホテル、レセプション会場、商業施設との相乗効果により、日本有数の大規模オールインワン型MICE施設となる。

 屋上庭園には、かつてこの地にあった大名屋敷・庭園の池泉形状をオマージュした大芝生広場を配する。日々の憩いの場としての利用にとどまらず、イベント・祭事や、レセプションなどの開催も可能とする。

 また、プロジェクトでは、3階レベルに各方面にアクセスできるペデストリアンデッキを架けるほか、これに面してJR山手線、京浜東北線の浜松町駅、東京モノレールの浜松町駅の改札を配置し、利用者利便性の向上を図る。

 都営地下鉄を含めた鉄道、バス、タクシーなど各交通機関の間の乗り換えについても、中央広場の近くに「ステーションコア」と呼ばれる吹き抜け空間を整備することで、最短ルートでの乗り換えを行えるようにする。地下階レベルの都営地下鉄大門駅、駐車場、1階レベルのタクシー乗り場、バスターミナル、3階のJR、モノレール駅相互のアクセス性が大幅に向上する。

 ◇

 かつて当地にあった初代世界貿易センタービルディングは、1970年の完成当時東洋一の高さ(152㍍)を誇り、以後、半世紀以上にわたり浜松町のシンボルとして親しまれた。

 外観は、ブロンズ色を特徴とし、館内には、オフィス、商業施設、展望台、結婚式場、バスターミナルなどが集積していた。今回のプロジェクトを契機に21年6月に閉館し、その後、解体工事も完了している。

 

 ■荒川和樹世界貿易センタービルディング開発企画部次長の話

 行き交う空間に浜松町の記憶刻む

 今回の開発で大切にしたことの一つに、隣の旧芝離宮恩賜庭園との関係性があります。本館7階オフィスロビーからは庭園に向かって視線が誘導されるようなデザインとし、また庭園からビルを見上げた時は、庭園と建物のグリーンのつながりを感じられるようにします。

 そのオフィスロビーから一歩外に出ると屋上庭園があります。ビルの敷地にはかつて大名屋敷が立ち並んでおり、その中央には庭園や大きな池がありました。当時の大名諸侯、客人たちが、その景色に親しんだということが想像されます。

 屋上庭園の芝生広場は、この形状をオマージュする形でデザインするとともに、お祭り、立食パーティー、レセプションといったイベントも開催できるようにします。こうした催しを通して、われわれなりに浜松町に流れるおもてなしの精神を表現していきたいと考えています。

 多くの人が行き交う空間の中で、浜松町の歴史、文化、タイムレスなものを人々の記憶に刻んでいけるようにプロジェクトを進めています。

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