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JR東日本 シンガポールにコーポレートベンチャーキャピタル「JRE Ventures Pte.Ltd」設立

2024.02.08
「JRE Ventures Pte.Ltd」のロゴマーク(JR東日本提供)

 JR東日本の深澤祐二社長は6日の定例会見で、シンガポールにコーポレートベンチャーキャピタル「JRE Ventures Pte.Ltd.(ジェイアールイー ベンチャーズ)」(登記予約済み)を今月下旬に設立すると発表した。主に東南アジア地域を中心に活動するスタートアップへ出資して協業を推進。事業シナジー(相乗効果)を生み出し、駅のサービスの可能性をさらに広げることで、リアルとデジタルが融合した同社グループの顧客体験価値の創造につなげる。

 投資領域は駅の「生活ソリューション」サービスが中心。既存事業とのシナジーを期待できる「広告」「リテール/EC」「物流」の各事業領域に対応した、「アドテック」「リテールテック」「ロジスティクステック」の領域で技術やビジネスを持つスタートアップを発掘する。約50億円(4545万シンガポール㌦)の出資枠を設け、約5年間で1件当たり数千万円から数億円程度を出資する。

 アドテックとリテールテックでは、広告やリテール領域でリアルとデジタルの融合を推進。生成AI(人工知能)やXR(クロスリアリティー)、ネットワーク技術の活用により、交通広告などリアルの屋外メディアの価値を高める。

 また、実店舗や通販ウェブサイト「JRE MALL」などのEC(電子商取引)サイト、同社グループ共通ポイント「JRE POINT」、モバイルSuicaなどの各チャンネルと集積データを統合活用。リアルとデジタルをシームレスにつなぎ、より豊かな購買体験の提供を目指す。

 ロジスティクステックでは、人手不足の中で、複数荷主の荷物の効率的な混載や最適な配送ルートをシミュレーションする技術をはじめ、倉庫自動化やラストワンマイルの物流技術などで物流のイノベーションを目指す。

 出資先の選定では、「TAKANAWA GATEWAY CITY」をはじめとしたJR東日本の多様なフィールドの共創の場を活用。同社がシンガポールと台湾で展開するコワーキングスペース「One&Co」や、昨年9月に連携協力の覚書を締結したシンガポール国立大学、同大学のインキュベーション施設「BLOCK71」などが持つスタートアップのネットワークにも参画し、タイムリーかつスピーディーな出資を目指す。

 今後はマーケットの変化などを踏まえ、柔軟に事業領域の拡大を図る方針。一連の共創により、JR東日本が展開する「Beyond Stations構想」の一層の発展を図る。

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