交通新聞社 電子版

特集 JR東日本 新支社長インタビュー 矢野精一 執行役員・横浜支社長・横浜支社鉄道事業部長

2024.09.11
矢野 精一支社長

 ありたい姿 想像・設定 アウトカム思考を

 車両メンテナンスの出身。秋田支社運輸部輸送課では、開業を1年後に控えた秋田新幹線「こまち」を担当した。試運転を重ね、不具合が出たら直して走らせてという作業の連続。一つの車両で不具合を見つけたら全車両に展開しなければいけない。夜通し作業して何とか翌日の試運転に間に合わせた。秋田からの初列車に使う「とっておきの編成」を決め、「東京まで何事もなく到着した時には感動、感激した。若いうちに体験できたのは非常に良かった」。

 支社長就任後、精力的に現場を訪問し、「まじめで前向き。自信を持っている」との印象を持った社員の人材育成では、「ルール思考だけではなくアウトカム思考の人材」を求める。

 「ありたい姿を想像・設定し、それと現状とのギャップをどのように埋めていくか考えて行動するアウトカム思考を身に付けることで、達成感や充実感、自分の成長につながる。イノベーションも生まれやすくなる。多少の失敗は目をつぶるぐらいの広い気持ちでサポートする」と心強い。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル人材育成では、昨年度から支社独自の取り組み「Yokohama D―Horizon」を開始。職務や職制ごとに目指すべきレベルを一覧化して、全社員対象に受講講座を設定した。業務を見える化して整理し、「DXに置き換えることによって時間を生み出してほしい」。

 支社管内を▽川崎▽横浜▽町田▽桜木町▽湘南・相模▽小田原・伊豆の6エリアに分け、各エリアを一つの企業に見立てて、収入や費用を可視化する「YMS(横浜マネジメントシステム)」を全社に先駆けて導入した。

 権限移譲も進め、トップダウンではなくボトムアップの経営を目指す。「現場の裁量で主体的に仕事をする方が楽しい。トップラインも上がり、トータルで支社全体の収益力向上につながっていく。高い目標設定をしているが、社員のモチベーションも上がっている」と見守る。

 「凡事徹底」とともに大事にしている言葉は、自ら作った「変時変革」。変わるときが変えるとき、タイミングを逃さずやりたいことの実現へ向けて思い切り一歩踏み出すようにしてきた。「私も『アイラブ横浜』の一人。横浜愛あふれる皆さんと楽しく仕事をして、横浜支社エリアをますます盛り上げていきましょう」とほほ笑んだ。(相川 夏子記者)

 

 ◇矢野 精一(やの・せいいち)氏略歴 1993年4月JR東日本入社。大宮支社川越車両センター所長、同浦和電車区長、横浜支社総務部長、東京支社(現・首都圏本部)運輸車両部長、執行役員・鉄道事業本部モビリティ・サービス部門長などを経て今年6月から現職。東京都出身。55歳。

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