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総合車両製作所 社員3人が「第68回全国溶接技術競技会」で入賞

2024.07.01
入賞した(前列左から)結城さん、小林さん、青山さん。後列は西山隆雄会長(当時社長)=総合車両製作所提供=

 JR東日本グループの総合車両製作所(J―TREC)の社員3人が、日本溶接協会主催の「第68回全国溶接技術競技会 東部地区茨城大会」の炭酸ガスアーク溶接の部で入賞し、このほど同協会で表彰式が行われた。溶接技能日本一を競う同競技会で、同一企業から複数人が上位入賞するのは珍しく、同社の技術力の高さを示すものと大きな話題になっている。

 同競技会は、被覆アーク溶接の部と炭酸ガスアーク溶接の部の2部門で競われ、47都道府県に所在する指定機関の大会を勝ち抜いた各部門56人の選手が出場する。競技課題は、普通鋼の薄板(板厚4・5㍉)、中板(9・0㍉)の突き合わせ溶接をそれぞれ行う。外観試験、放射線透過試験、曲げ試験により審査され、競技中の違反行為による減点も含めて採点される。

 同社からは、被覆アーク溶接の部に新津事業所の陸一樹さん(生産本部新津製造部構体課)、炭酸ガスアーク溶接の部に和歌山事業所の小林海渡さん(生産本部和歌山事業所製造課)、横浜事業所の青山正人さん(生産本部生産部台車課)、新津事業所の結城達也さん(生産本部新津製造部構体課)が県大会を勝ち抜き出場。全事業所から県代表として出場するのは同社創立以来初の快挙だった。

 同社では、鉄道車両でステンレス製の車体の台枠の一部や金具類、車体の下に取り付けられている走行装置の台車、コンテナの組み立てなどに炭酸ガスアーク溶接が用いられている。

 小林さんは普段、台車枠構成部品の横ばり溶接・仕上げ作業を担当。青山さんは車両の台車製造で班長業務を行い、溶接や製缶作業全般を班員に指導している。結城さんは通勤車両の底部、両端の端台枠という箇所の組み立て溶接や、車体の圧縮、引張、荷重を支える重要部の高度な本溶接作業を担当している。

 競技会出場に向け、小林さんは本番を想定した模擬訓練とイメージトレーニングを実施。班長業務で現場作業が少なくなっていた青山さんは「3年以上のブランクを取り戻すため、2カ月間徹底的に練習した」という。

 本番では「薄板は練習通りできたが、中板は失敗したので自信はなかった」(小林さん)、「緊張したが、目標にしていた練習の7割以上を出せ、自分に打ち勝つことができた」(青山さん)、「独特な雰囲気で、競技開始とともに一気に緊張した。普段の7割程度の力しか発揮できなかった」(結城さん)と三者三様の手応え。審査の結果、炭酸ガスアーク溶接の部で優秀賞に小林さん(3位)と青山さん(4位)、優良賞に結城さん(16位)が輝いた。

 入賞を受け、小林さんは「サポートしてくださった方々に感謝。被覆アークの部で3年以内に日本一を目指します」と力強く宣言。青山さんは「入賞できればという気持ちで臨んだので、上位になって驚いた。次の候補者たちに指導やアドバイスを積極的に行い協力していきたい」、結城さんは「次回の全国大会出場が決定したので、より上位を目指したい」とさらなる飛躍を誓っている。

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