交通新聞社 電子版

墨滴 12月1日付

2023.12.01

 国の有形文化財(建造物)に、東京地下鉄(東京メトロ)丸ノ内線の御茶ノ水橋りょう、御茶ノ水駅出入口上家、四ツ谷こ線橋、銀座線浅草駅4番出入口上家の4件が登録されることになった。同橋りょうとこ線橋は、東京都所在の土木構造物として初の登録となる▼御茶ノ水は交通新聞社の本社があり、御茶ノ水橋りょうと駅出入口上家も毎日のように目にしている。同橋りょうは1955年の竣工(しゅんこう)で長さ36㍍、鋼製1連桁橋。地下区間と地下区間の間で神田川を渡る▼実は神田川沿いは、水辺地など良好な自然的景観を維持するため、都市計画法で風致地区に指定されている。地下鉄では貴重な車窓と風致地区の景観に配慮して、同橋りょうの桁橋は厚みが薄く、面取りした表面は平滑に仕上げられていることを今回初めて知った▼御茶ノ水駅出入口上家(53年竣工)は鉄筋コンクリート造り、白色の外観で、地上階のほぼ全面に水平連続窓を配したモダニズム建築の好例。神田川沿いに立つその姿は、一見して美術館や博物館のようでもある▼丸ノ内線の建設が進められたのは昭和20年代後半。戦後の焼け跡から復興していく中にあって、当時の技術者たちはようやく訪れた平和と周囲の景観を強く意識して設計に当たったのだろう。改めて橋りょうと駅を眺めると、関係者の熱い思いを感じられる。

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