交通新聞社 電子版

特集 相鉄グループ 「ゆめが丘ソラトス」開業 地域、人、つなぎ  にぎわい広げる

2024.08.14
ゆめが丘ソラトス間内吹き抜け部。階段上には2,3階のソラトスルームがある

 相鉄グループの相鉄アーバンクリエイツと相鉄ビルマネジメントが整備を進めてきた相模鉄道いずみ野線ゆめが丘駅前の大規模商業施設「ゆめが丘ソラトス」が7月25日にオープンした。新たなまちづくりを進めるゆめが丘駅周辺エリアのハブとして、自然や農業など地域の魅力を発信するとともに、若い世代に新たなまちの暮らしやすさをアピールするため、子どもと一緒に来たくなるような遊び場などを整備。環境や持続可能性にも配慮した施設となっている。(鴻田 恭子記者)

 

 若い世代が暮らしやすく

 横浜市郊外のゆめが丘は、川の恵みによる農業が盛んな地域。計画中の開発エリアは約24㌶で東京ドーム5個分、エリア内には1999年に開業したゆめが丘駅、さらに横浜市営地下鉄ブルーラインの下飯田駅がある。開発プロジェクトは、土地区画整理事業を行い、商業施設や病院、住宅、公園などがそろう「まち」を創出するもの。4月には病床数156床、24時間体制で救急医療を提供するゆめが丘総合病院が開院した。

 住宅の建設も進んでおり、5月に木造賃貸マンション「KNOCKS(ノックス)ゆめが丘」が竣工(しゅんこう)。分譲マンション「グレーシア ウエリス横浜ゆめが丘」の建設も始まっている。相鉄・JR直通線や相鉄・東急新横浜線の開業もあり、交通の利便性も向上。今後、分譲マンションや戸建て住宅の整備を進め、約5200人が住む「まち」をつくる計画だ。

 

 エリアの良さ前面に

 そのエリアのハブとして誕生した「ゆめが丘ソラトス」は、「食」「アクティビティー」「教育・文化」など、多様な体験ができる交流型施設を目指す複合商業施設。「『ゆめが丘に暮らす』がみえる場所」をうたっており、ゆめが丘の良さを感じることを前面に押し出している。施設名「ソラトス」も、広大な空をイメージして付けている。

 施設は3区画に分かれており、中心となる「ソラトス1」は鉄骨造り3階建て(商業3フロア)で立体駐車場棟を併設。「ソラトス2」は3階建て(商業1フロア)で家電量販店が入居、上部は駐車場となっている。「ソラトス3」は駅高架下にある。店舗面積は約4万2700平方㍍。全129店舗となっている。

 

 子どもが楽しめる場所

 特徴の1つは子どもが楽しめるスペースの多さ。屋上には「営業色を排除した」という約3000平方㍍の遊び場「そうにゃんぱーく そらの広場にゃん」があり、相模鉄道キャラクターのそうにゃんをモチーフにした遊具をそろえ、芝生の広場も設けた。

 各フロアにはキッズトイレや授乳室を整備。3階のシネマコンプレックスは10スクリーンのうち1つを関東初となる常設のキッズシアターとした。前方スクリーン下のスペースにクッション素材の遊び道具を配置。映画に飽きた子どもが移動して遊ぶことができる。同じ3階には屋内アミューズメントパーク「ASOBLE(アソブル)」もあり、「ふわふわドーム」など人気の遊具の多くを無料で楽しめる。

 

 魅力の発信、体験・交流を創出

 地元の食PR、催事空間も

 店舗は食体験を強化。1階には地元産の牛乳を使ったスイーツ店、県産小麦のべーカリーや店内で醸造するビール醸造所などがある。シェアキッチンもあり、生産者によるレシピ紹介などのイベントにも対応する。スーパーマーケット「そうてつローゼン」や青果、精肉、鮮魚などの店舗もそろう。3階には全9店舗、約700席のフードコートが設けられた。

 施設内吹き抜け部近くの2、3階には地域交流体験スペース「SORATOS Room(ソラトスルーム)」を設けた。催事や展示、セミナーなどに活用できる。オープンに先駆け、ゆめが丘ソラトスとエリアに関連する企業などで構成するゆめが丘エリアマネジメント協議会も発足。同ルームなどの場所を活用し、地域と連携してにぎわいを創出していく。

 

 持続可能性にも配慮

 環境への配慮もセールスポイントで、屋上部には約3000枚の太陽光パネルを設置し、施設で消費する電気の約7・5%を賄う。また、飲食店から排出される廃食用油を回収してSAF(持続可能な航空燃料)として再生する取り組みや、生ごみなど食品廃棄物を集めて発酵させ、たい肥化する取り組み、焼却処理される不要な衣服を回収して再資源化する取り組みなども実施。排水を処理し、トイレ洗浄や植栽の散水などにも活用している。

 また、自動配送ロボットとモバイルオーダーを組み合わせた商品配送サービスも計画。アプリから同施設の指定店舗の商品を注文すると、自動配送ロボットが指定場所まで配送するシステムを提供する。今月18日までは施設内でロボットのお披露目、その後は施設内や周辺のマンションなどへの配送を開始、将来的には配送対象を24㌶の開発エリア全体に広げていく。モバイルオーダーでは、ゆめが丘駅改札外に設置した宅配ロッカーへの人間による商品配送もできる。

 

 子育て世代に選ばれるまちに

 相鉄グループでは「新しいまちをつくるにあたり、子育て世代にも選んでもらえるようなまちにしたいと思い、ソラトスにも子どもが楽しめる場所を作った。ゆめが丘にはサイクリングロードや観光農園での農体験などまだ知られていない場所もある。お客さまがソラトスを介して地域の魅力を知り、ソラトスから地域へと出て、にぎわいが広がっていくような、買い物だけではない体験ができる施設にしたい」としている。

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