特集 うめきた2期開発事業「グラングリーン大阪」 24年9月に先行まちびらきへ
大規模駅直結では最大級の公園
イベント、コンテンツ本格誘致
三菱地所、阪急電鉄などグラングリーン大阪開発事業者JⅤ9社は9月25日、うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」の先行まちびらき時期を2024年9月に決定したと発表した。範囲は「うめきた公園」のサウスパーク全面、ノースパークの一部と北街区賃貸棟。JR大阪駅前に誕生する都市公園の現況、計画概要を紹介する。
(秋元 尚浩記者、イメージパース提供・グラングリーン大阪開発事業者)
同開発事業は、大阪駅北側で「『みどり』と『イノベーション』」の融合」を指針として進められているプロジェクトで、地区面積は約9万1000平方㍍。これまで先行まちびらき時期は24年夏ごろとなっていたが、今回、同年9月により明確化された。
開発エリアの顔となるのは、「うめきた公園」。広さ約4万5000平方㍍で、大規模ターミナル駅直結の公園として世界最大級の規模となる見込みだ。
目指しているのは、公園の利便性、にぎわい向上など、「みどり」全体の魅力を高め、国内外からさまざまな人々を呼び込んでいくことや、来園者に対する新たな体験や学びの機会の提供、イノベーションの創出など。建設工事は昨年5月に着手し、順調に進捗している。
同公園のうち、サウスパークには、大屋根施設、芝生広場などが設けられる。このうち、大屋根施設は、屋外型屋根付きイベントスペース、公園やまちの情報発信・案内施設、カフェ・レストラン棟で構成。イベントスペースは、芝生広場との一体利用により1万人規模のイベント開催も可能となる。
芝生広場の広さは、テニスコート15面に相当する約4000平方㍍。このほか、木陰で思い思いに過ごせる段丘状の丘、水遊びができる薄層の水盤、四季折々の草花に囲まれながらゆったりとくつろげる庭園空間などを整備する。
ノースパークについては、来年9月時点では北街区賃貸棟付近などが開園する。また、サウスパーク、ノースパークを結ぶ歩行者デッキ「ひらめきの道」も設置。両公園間の回遊性の向上を図るとともに、公園の風景の眺めを楽しめるようにする。ノーススパーク内の「うめきたの森」エリアなどは2027年春ごろの開業を予定する。
うめきた公園のロゴマークは、有機的なフォルムの2本のライン、シャープな文字の「UMEKITA PARK」を組み合わせたもので、公園がもたらす、みどりあふれる癒やしとイノベーションを起こす都心のパブリックスペースとして機能を表現している。
2本のラインは、公園を形成する地形や建築物で採用された緩やかな起伏と、南北の公園をつなぐ「ひらめきの道」の形状をイメージしており、多様な人々が集い、〝つながっていく〟場でありたいという願いを込めた。
運営面では、事業者JVが6月1日付で公園のマネジメントとまち全体のエリアマネジメントを一体的に運営する組織「うめきたMMO(MIDORI Management Organization)」を設立している。
同組織では、開発プロジェクトのコンセプト「〝Osaka MIDORI LIFE〟」の創造と、グランフロント大阪(うめきた1期開発事業エリア)を含む、うめきたエリア全体の価値向上を目指し、にぎわい形成、パートナー制度の運用ほか、大阪駅前にふさわしい高質な維持管理、良質な景観形成、まちの情報発信などを行っていく。
そうした中で、にぎわい形成の取り組みでは今後、サウスパークの大屋根イベントスペース、芝生広場を中心に展開するイベント、コンテンツの企画・誘致を本格的に開始する。
大規模なイベントについては、感動体験を提供できるよう「イベントで大切にしたい12の要素」を定めており、これらに合致した企画を実施していく考え。
日常的なにぎわい形成に向けては、仕事終わり、ショッピングの合間などに気軽に使用でき、都心での日常を豊かにするファニチャー・遊具の貸し出しや、気軽に文化・芸術に触れ、新しい学びに出合えるコンテンツの誘致・開催などを予定する。
パートナー制度は、プロジェクトのサステナブルな価値観・計画や、「共創」の理念に共感してもらえる企業・団体を対象とした「MIDORIパートナー制度」を創設し、「世界にいいことを、共創していくまちへ」のコンセプトの下、社会課題の解決に向けた活動に取り組んでいく予定。
■中核機能施設で独自の共創期待 JAM BASE
「グラングリーン大阪」の各所に配置する中核機能施設の総称が9月28日、「JAM BASE(ジャムベース)」に決定した。
中核機能施設は、イノベーションの創出支援や、多様な人の接点構築を図ることを目的に設けられるもので、具体的には北街区賃貸棟1~9階の中核施設、ノースパーク内の「(仮称)ネクストイノベーションミュージアム」「みんなのキューブ」「エデュテインメントキューブ」とサウスパーク内の「スポーツキューブ」などを指す。
北街区賃貸棟の中核施設は、4層吹き抜けの会員制交流スペースを囲うようにコワーキングスペース、会議室、SOHO、オフィスなどを整備。また、同じ用途を1フロアに集約させ、プランの合理化を図るといった従来の施設構成の考え方ではなく、あえてさまざまな用途、機能をごちゃごちゃに混ざり合わせて配置し、人々の活動の交わりを誘発していくことも特徴となる。
ネクストイノベーションミュージアムは、新しい製品や技術、サービス、アートなどライフデザイン・イノベーションに資する「モノ」や、イベント・プログラムなどさまざまな「コト」に触れられる新しい形態のミュージアムで、高さ15㍍を誇る大展示室、イベント利用も可能なホワイエなどが設けられる。
みんなのキューブには、各種企業活動など多目的に利用できるスペースがある。エデュテインメントキューブは、子どもから大人までが屋内外でアクティビティや多様なプログラムを通じ、「あそび」と「学び」を体験できる施設となる。スポーツキューブでは、運動や健康に関する展示、イベント・プログラムなどを実施予定。
名称の「JAM BASE」には、音楽の即興演奏を〝JAMMING〟と表すことから、施設で巻き起こる独自の共創「コ・クリエーション」が、即興で音楽をつくるかのように楽しくエキサイティングなものとなってほしいという思いを込めた。「BASE」は「基地」の意味を持つ言葉。
ロゴマークは、そこに集うさまざまな人々と共に変化していく様子、それぞれの個性が混ざり合い、協奏することでいろいろな形に変化する様子を表現した。
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