北陸新幹線金沢―敦賀間延伸開業 福井周遊に新たな二次交通
県内交通5社連携 点在する観光地結ぶ
あすから運行開始 新幹線駅の発着中心に
北陸新幹線福井―敦賀間開業に向け、福井県内で新たな二次交通が整備された。県内の京福バス、ケイカン交通、大野観光自動車、福井鉄道、敦賀海陸運輸の5社が連携し、「はぴバスコンソーシアム」を設立。点在する観光地を結び、新たな誘客を図ろうと競合各社がタッグを組み、万全な受け入れ態勢を整えた。あすの延伸開業を迎える福井に一足早く訪ね、担当者に話を聞いた。(大石 淳記者)
コンソーシアムは5社に福井県バス協会が加わり、福井県観光連盟が協力。「はぴバス」と銘打ったブランドを新設し、あす16日から運行開始する。
福井駅東口を出発する2コース、芦原温泉駅発の1コースの計3コースを定期観光バスとして土曜日・休日に走らせるほか、募集型企画ツアーを随時催行。定観バスは京福バスが主催、募集型は京福バス、敦賀海陸運輸、大野観光自動車、福井鉄道がそれぞれ独自コースを運行する。
福井鉄道の企画バスツアーに参加!
紙すき見学と神社・寺巡り
福井鉄道が企画した「和紙の里・製紙所見学と府中御堂拝観」は延伸区間の新駅の一つ、「越前たけふ」発のコースだ。所要時間は約6時間。地元伝統産業である「和紙作り」の現場や点在する神社・寺を巡り、名物の越前そばを堪能できる。
福井県越前市の「越前和紙の里・卯立(うだつ)の工芸館」で、紙すきの実演などを間近に。紙の神様「川上御前」がまつられている岡太神社・大瀧神社を地元のボランティアガイド付きで、陽願寺を住職の案内を受けながら見学する。
■インタビュー
互いに協力、多くのコースでおもてなし
京福バス 吉住愛さん
福井県観光連盟観光アクティビティ・スーパーバイザー 松尾章子さん
コンソーシアムで中心的な役割を担う京福バスの吉住愛さんは、「福井の交通事業者では新幹線の延伸開業に向け、観光客の皆さんをおもてなししたいという気持ちが強かったのですが、一事業者では多くのコースをご用意することが難しく、福井県観光連盟のサポートのもとコンソーシアムを組みました」と経緯を話す。
――新たなブランド「はぴバス」の立ち上げ経緯を教えてください。
吉住 延伸開業で多くの観光客の来訪が見込まれます。地元の交通事業者では観光客の方をしっかりとおもてなししたいと考えていましたが、ドライバー不足もあり、一事業者だけでは多くのコースをラインアップすることが難しく、互いに協力しようと立ち上がりました。観光連盟さまにサポートいただき、福井県バス協会を通じて参画事業者を募り、まずは5社が集まりました。
松尾 バス路線は、どこも赤字で当初は厳しいという意見もありましたが、(延伸開業は)100年に1度のチャンスという声がたくさんありました。多くの方に満足していただけるツアーを作りたい、という吉住さんの熱意もあり、「これは協力するしかないない(笑)」と支援させていただきました。
観光資源の発掘が業務の一環ですが、(福井は)資源が点在しています。新たなコンテンツ開発も大切ですが、まずは魅力ある観光地を線で結んでいきたいと考えていたので、(はぴバスは)ピッタリの施策でした。
――具体的に、どのように進めてきましたか。
吉住 コロナ禍で新たに開発した県民向けのツアーで得たノウハウを生かしつつ、バスツアーで高い実績をお持ちの「はとバス」さんにご指導いただき、コース作りを始めました。
ツアーの内容から組み方までレクチャーを受けました。トップガイドの方に講演いただき、おもてなしの心を学びました。ドライバーもさることながらガイド不足の中、連盟さんを通じて人材を募り、運行に備え研修を積んできました。
松尾 補助金を活用して育成してきましたが、同時に「はぴバス」を県外に周知していかなければなりません。旅行会社の商談会などに参加しながら、新たに自社(コンソーシアム)での予約システムを開発しました。
旅行会社のお力添えは不可欠ながら、コンソーシアムでも電話応対といったアナログ対応から脱却。福井に到着したら、個人で(はぴバスを)ご予約できるようになっています。
――福井の魅力とは。また、ロゴについて教えてください。
吉住 なんといっても海、山を共に備えた自然ですが、他にもまだまだ知られていない魅力がたくさんあります。
ロゴの右上には持続的な観光を示す無限大をあしらい、福井の「ふ」の文字を斜めに、少し欠ける形でデザインしています。
斜めの角度は17度。県が17市町で構成されていることになぞらえています。一部が欠けているのには、まだ知られていない魅力があるという意味を込めました。色調は明るいピンク。ハッピーな気持ちを、バスの文字の水色は日本海を表しています。
ツアー内容が決まるまで本当に苦労しましたが、楽しんでいただきたいという一心で取り組みました。福井にいらしたら、ぜひ「はぴバス」に乗り、ピンク色に染まって(ハッピーな気持ちに包まれて)いただきたいですね。
■福井へ誘客
県観光連盟など特別シンポ開催
県観光連盟では、日本旅行、JR西日本、福井県とともに「北陸新幹線福井県誘客プロジェクト実行委員会」を設立。23、24日に福井市内で「サステナブル・ブランド国際会議2024 福井シンポジウム~高校生が考えるこれからの観光~」を開催する。
毎年実施しているシンポとは別に、北陸新幹線開業記念特別イベントとして企画した。2月に東京で開いたサステナブル・ブランド国際会議 Student Ambassador 全国大会」に出場した全国14校の一部校に加え、地元の高校を招く。
生徒ならではの感性と視点で地域の課題解決などを提言。互いに意見を交わしながら、延伸開業を契機とした「福井で学べる次世代修学旅行」などについて考える。県全域を対象に、生徒が企画したエクスカーションも計画。継続的に訪れてもらうだけでなく、新たな教育旅行の場とする取り組みとして期待されている。
県観光連盟では旅行会社をはじめ、各方面への周知に努め、補助金を活用したガイド育成に力を注ぐとともに、「新しい予約システム」(松尾氏)を構築。今年初めには公式ウェブサイト、旅行会社を通じた販売も開始したが、地震の影響で伸び悩んでいるという。
応援割にも期待
「16日から始まる『北陸応援割』に期待したい」(関係者)との声も。延伸開業を契機に「はぴバス」だけでなく、多くの誘客策が展開される福井。官民を挙げ、観光振興を推進していく。
検索キーワード:JR西日本
1,519件見つかりました。
281〜300件を表示
-
2024.08.16 JR西日本 予定・計画・施策
JR西日本 能登・七尾の地域産品を販売 第6弾
JR西日本、ジェイアールサービスネット金沢、七尾商工会議所の3者は18日、JR金沢駅コンコース「おみやげ処金沢」前で能登・七尾の地域産品を販売する。
-
2024.08.15 JR西日本 予定・計画・施策
JR西日本など 「すしの都 北九州協議会」設立
文化発信や交流人口拡大 北九州市と北九州DMO連絡会議、JR西日本、同市内のすし店、漁業関係者などが相互連携し、北九州のすし文化発信や交流人口拡大を目指す「す
-
2024.08.14 政府・省庁・鉄道運輸機構 予定・計画・施策
国交省 JR西日本申請の運賃改定を認可 京阪神電車特定区間の運賃水準共通化
国土交通省は9日、JR西日本が5月15日付で申請していた旅客運賃の上限変更について、申請通り認可した。
-
2024.08.14 政府・省庁・鉄道運輸機構 予定・計画・施策
国交省 国交省こども霞が関見学デー 子どもたちが斉藤大臣に質問
国土交通省で7、8日に、「国土交通省 こども霞が関見学デー」が開催された。
-
2024.08.14 その他業種分類 記録・調査・統計
ウイークリー・メモ 24年8月5~11日
◇8月5日(月)=JR東日本と阪急電鉄が鉄道技術分野での協力を強化し、お互いのノウハウを共有していくことを目的に7月26日付で覚書を締結したと発表。
-
2024.08.13 JR西日本グループ 予定・計画・施策
JR西日本SC開発 台湾「經典國際股份有限公司」と包括業務提携
JR西日本SC開発は、台湾の經典國際股份有限公司(経典社、台中市)と包括業務提携契約を締結した。
-
2024.08.13 JR西日本グループ 予定・計画・施策
中国ジェイアールバス 「JRバス中国」に社名変更 9月1日付
中国ジェイアールバスは8日、9月1日付で社名を「JRバス中国」に変更すると発表した。1988年3月の会社発足以来、初の社名変更となる。
-
2024.08.13 JR西日本グループ 予定・計画・施策
JR西日本不動産開発 不動産私募ファンド「合同会社JRWDファンド第9号」を設立
JR西日本不動産開発は、不動産私募ファンド「合同会社JRWDファンド第9号」を設立した。
-
2024.08.13 JR西日本 予定・計画・施策
JR西日本 広島・山口エリアから首都圏旅行でWESTERポイント進呈
JR西日本は9月1日から30日まで、広島・山口エリアから首都圏への旅行や出張でWESTERポイントをプレゼントするキャンペーンを実施する。
-
-
2024.08.13 JR西日本 予定・計画・施策
JR西日本 京都ポルタで「北陸応援フェア」
JR西日本、JR西日本京都SC開発、中小企業基盤整備機構が連携した「北陸応援フェア」が24、25日にJR京都駅構内の商業施設・京都ポルタで開催する。
-
2024.08.09 JR西日本 予定・計画・施策
JR西日本 「2024年度財務エキスパート研修」スタート
中核、指導的役割を期待 JR西日本は2日から、本年度の財務エキスパート研修を開始した。1989年にスタートし、今回で34回目。
-
2024.08.09 観光・旅行業 コラム・企画類
指定席 日本旅行・三好幸代氏
日本旅行で「風土」「意識」「制度」の改革に向けて陣頭指揮を執る総務人事部担当部長・女性活躍推進・働き方改革推進担当三好 幸代(みよし ゆきよ)氏 長きにわた