2024年 年頭所感 JR西日本・長谷川一明社長
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2023年は、未来への羅針盤となる「私たちの志」を掲げ、10年後のありたい姿である「JR西日本グループ長期ビジョン2032(以下、長期ビジョン)」の実現に向けて、その実行計画である「JR西日本グループ中期経営計画2025(以下、中期経営計画)」に取り組み始めた年でした。
この間、共に働く仲間や様々なパートナーと協力し、大阪駅(うめきたエリア)開業や奈良線複線化などの大規模プロジェクトを完遂するとともに、グループ共通ポイントである「WESTERポイント」や「モバイルICOCA」のサービス開始など、デジタル戦略の推進による顧客体験の再構築を進めてまいりました。これらに加え、旅行機運上昇・インバウンドの回復という機会を捉えた需要の取り込みや、構造改革による生産性向上など、これまでの取り組みが実を結び、中間期において計画を上回る業績を達成することができました。
最重要課題である鉄道の安全性向上については「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」を策定し、「お客様を安全に目的地までご案内する」使命を果たすため、「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識して安全性向上に取り組むこととしています。この計画に基づき、安全性の維持・向上に向けたハード整備も行いました。大きな輸送障害や労働災害を発生させた状況も踏まえ、安全最優先の判断と行動を積み重ねることで、お客様に安心、信頼して繰り返しご利用いただけるように努めてまいります。
さて、2024年については、「ポストコロナへの挑戦」を掲げた3か年の中期経営計画の折り返し点となります。私たちの志や長期ビジョンの実現に向けた戦略をより具体化し、「ポストコロナへの挑戦」を加速していく1年にしていきます。
引き続き安全が当社グループの経営の根幹であることに変わりはありません。「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、被害に遭われた方々へ真摯な対応を行っていくとともに、さらなる安全性向上に取り組んでいきます。
「私たちの志」に掲げる「心を動かし、未来を動かす」企業グループへと進化するためには、徹底した顧客視点とその実行が重要と考えます。各経営単位で顧客起点の取り組みを深めるとともに、1月1日に新設したマーケティング本部を中心にさらなるグループシナジーを発揮することで、モビリティサービス分野の活性化とライフデザイン分野の拡大、最適な事業ポートフォリオの構築を進めていきます。
当社グループを取り巻く経営環境に目を向けると、労働力不足や物価上昇、革新的技術の誕生など、想定を上回る変化が続くと考えています。
このような環境下では、変化に臆せず果敢に挑戦する人財、さらには、自ら変化を創り出せる人財が何より重要です。価値創造の源泉は人財であり、「自ら変化を創り出す組織集団」へと進化すべく、社員の自発的なキャリア形成支援、ダイバーシティ&インクルージョン、ワークエンゲージメントの向上にグループ全体で取り組んでいきます。
北陸新幹線金沢-敦賀間開業や大阪駅西地区の開業、2025年の大阪・関西万博に向けた準備など、「私たちの志」に掲げる「人、まち、社会のつながりを進化」させるチャンスは広がっています。共に働く仲間や様々なパートナーとともに、心が動くよりよい未来を創り上げていきます。
皆様方のご健勝をお祈り申し上げ、ご挨拶といたします。
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