JR東海 東海道新幹線 実車使った異常時対応訓練
最寄り駅へ迅速に停車
JR東海は10月30日深夜、東海道新幹線品川―新横浜間で実車を使った異常時対応訓練を行った。走行中の車内で不審者が刃物を使って周囲に危害を加える異常事態を想定。不審者への対応や非常ブザーの複数作動時の取り扱い、駅ホームでの乗客の避難誘導を実践し、一連の動きを確認した。
同新幹線では、大規模災害や不測の事態発生に備えて社員の対応能力を向上させるため、各現業機関での教育訓練に加え、本線で実際の車両を使用した実践的な大規模訓練を毎年実施している。
今回は、運転士、車掌、駅係員、指令員、パーサー、警乗警備員、警察官をはじめ、JR東日本、JR西日本、東京地下鉄(東京メトロ)、近畿日本鉄道から約220人が参加。駅側の受け入れ態勢が整わなくても、通過予定の最寄り駅にいち早く停車させる取り扱いを初めて実践した。
訓練では、音量を巡る乗客同士のトラブルから、不審者が刃物を振り回して負傷者が発生。乗務員、パーサー、警備員、指令員が、業務用スマートフォンのグループ通話システムを活用し、負傷者を救出した。不審者には、応急的にスーツケースで防護した車掌や、防護装備品のさすまたを持った警備員が駆け付けて対峙(たいじ)。当該客室を不審者のみにして、両端部の扉をデッキ側から押さえ付け、乗客の安全を確保した。
また、車内の非常ブザーが複数扱われたことで、運転士が不測の事態と判断。指令と打ち合わせて、最寄りの新横浜駅まで低速で運転を続行する一方、指令員は関係箇所へ同駅停車に向けた対応の準備を指示、要請した。その後、いち早く最寄り駅に到着するため、速度向上を指示した。
同駅では、国土交通省が取りまとめた対策に沿って、あらかじめホームドアを開扉。列車停止位置が2両分に相当する約50㍍ずれて停止したものの、停止位置を修正せずに乗降扉を開扉して、乗客を速やかに避難誘導した。同時に、通報を受けた神奈川県警の警察官が車内に乗り込み、不審者を取り押さえた。
近藤雅文執行役員・新幹線鉄道事業本部副本部長・運輸営業部長は「初めての取り扱いとなった点も計画通り実践でき、手応えを感じた。異常時に適切に対処するためには、訓練の積み重ねが非常に重要。社員の対応能力向上に努め、お客さまに安心してご利用いただけるように、引き続き実践的な訓練に取り組んでいきたい」と総括した。
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