JR西日本 イノベーションの取り組み2件の検証・検討状況
指令業務にアシストAI スマートロッカー商品受け取り
JR西日本は、パートナー企業と共に新たな価値創造や変化対応力の向上を目指すイノベーションのうち、「鉄道指令業務アシストAI(人工知能)の実用化」と「次世代スマートロッカーを活用した新たな商品受け取りサービス~ピクラク~」の取り組みを進めている。
鉄道指令業務アシストAIは、自然災害や設備のトラブルで列車のダイヤが乱れた場合、復旧に向けて各列車の運行を指示する指令業務について、AI技術を活用し、最適なダイヤを自動提案するソリューション。
実証実験は2021年度から開始し、実在しない仮の線区をモデル化し、基本となるAIを構築。AIが提案した運転整理案と実際の指令員による運転整理案とを比較して検証を重ね、一定の成果を得た。
22年度からは、同社管内の実際の線区・ダイヤのデータを用い、自動で運転整理を行うためのAI学習モデルの確立に向けて検証を実施している。基本となるAIに指令員のノウハウを学習させることで、AIの運転整理案の精度が指令員の案に着実に近づいてきている。
現在は、モデル線区の追加検証やAIの出力解の精度を高めていくとともに、実場面で使用できるようなシステムの設計や機能の追加を進めている。
実用化は、数年以内を目指している段階。実現すればベテラン指令員の運転整理のデジタル化が可能となり、指令員の負担を軽減しつつ、若手・ベテラン社員の経験の差による精度のバラつきを縮小し、ダイヤ復旧の質の向上につながる。
一方、次世代スマートロッカーを活用した新たな商品受け取りサービス「ピクラク」は、今年3月から専用ウェブサイトで注文したコストコの商品を受け取る実証実験などを行っている。ロッカーの設置駅は、大阪、北新地、大阪天満宮、高槻の4駅7カ所。
また、同ロッカーに預けた荷物をホテルまで配送する仕組みを構築すれば、「手ぶら観光」への応用となる。旅行者の不便さの解消、物流の「2024年問題」や、観光客の大型手荷物による公共交通機関の混雑緩和などでオーバーツーリズム対策につながることから、この応用への検討が進められている。
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