JR西日本など6社 インフラマネジメント事業開始
組織能力や知見を結集
自治体などの要望に応じ最適化に必要なサービス
JR西日本とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行は16日、同日付で業務提携契約を締結し、総合インフラマネジメント事業「JCLaaS(ジェイクラース)」を開始すると発表した。日本全域にわたる社会インフラ関連の課題に対応するため、JR西日本の呼び掛けにより立ち上がったもので、人々の暮らしを支え続けてきた6社の組織能力や知見を結集。社会インフラサービスのプラットフォーマーとして、最適化の計画策定、工事・保守の体制整備・履行、資金アレンジに至るまで、社会インフラの最適化に必要な機能を総合的に担い、自治体などの状況や要望に応じたサービスを提供していく。
各自治体が管理する道路、水道、公共施設などの社会インフラは、老朽化への対策が求められているほか、人口減少を背景に特に地方を中心に担い手不足、財源不足が顕在化しつつある。
JR西日本では、長きにわたって広域なエリアで地域に密着して鉄道インフラの運営管理事業を行ってきた同社グループの組織能力を生かせる可能性があるとして、この課題への取り組みに着目。ただし、スケールが非常に大きく領域も多様なものとなることから、通信・デジタルや金融分野5社に参画してもらい、6社協業のスキームで事業を推進していくことになった。
役割分担については、JR西日本は取り組みの全体統括を担うとともに、施設、設備の長期的なアセットマネジメントの最適化などを主導する。NTT Comは、国内外の長距離通信インフラを担い、ICT(情報通信技術)など先進技術を駆使して課題解決を手掛けてきた実績と能力を生かし、デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)などを主導。4行は金融サービスを通じて培った知見などを生かし、資金調達スキームの組成、資金提供などを主導する。
サービス提供に当たっては、地域に根差すパートナーや、コンサルタント、建設事業者をはじめとするさまざまなパートナーとの連携も図る。
取り組みの方向性としては、「将来世代の豊かな暮らしや経済成長を支え続ける社会インフラへの再構築」と「官・民・市民が未来を共に創る社会の構築」を据える。目標には、2030年までに100を超える自治体などにおいて事業を展開することを設定している。
「JCLaaS」の名称のうち、「J」は日本全域にわたる取り組みという意味での「Japan」と、官・民・市民が共に参画する「Join」の意味を込めた。最後の「aaS」は、「as a Service」を表現し、社会インフラを物理的に残し続けるということのみならず、サービスとして提供し続けるという考え方への転換を意味している。
同日は東京都内で記者会見が行われ、長谷川一明JR西日本社長、丸岡亨NTTコミュニケーションズ社長、加藤勝彦みずほ銀行頭取、神元浩行三井住友銀行専務執行役員、早乙女実三菱UFJ銀行取締役・副頭取執行役員、牧裕文日本政策投資銀行常務執行役員が出席。
冒頭、あいさつに立った長谷川社長は、事業開始の経緯を説明するとともに、「世の中が移り変わっていくことを前提とした、利便と負担が最適なバランスを保ち続けていける社会インフラサービスの在り方の再構築を目指したい」と指針を述べた。
さらに官民連携による効率的、効果的な課題解決の重要性に言及した上で、「6社が中心となって、地元企業をはじめとするさまざまな事業者と業界を超えて連携し、産業としてともに繁栄する社会、先進技術の駆使や参画しやすい仕組みの採用による市民参画型の社会を目指していきたい」と語った。
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