交通新聞社 電子版

JR九州パレットワーク JR九州社員研修センターで障がい者スタッフがコーヒー販売

2024.05.20
「にじいろ珈琲」を営業する(左から)石丸さん、松元さんと指導係の中尾さん

 障がい者の雇用を推進するJR九州パレットワークは、本年度から新たにカフェ事業に取り組み、JR九州社員研修センター(北九州市門司区)内でコーヒー販売を行っている。トレーニングを積んだ障がい者スタッフが、豆からひいて入れた香り豊かなホットコーヒーを1杯100円で提供し、同センターの社員や研修生らに喜ばれている。

 

 初の接客業務

 同社には障がい者スタッフ22人が所属し、主に清掃やオフィスサポートなどの業務に当たる。これまで接客業務はなかったが、接客が好き、もしくは得意なスタッフもいるため、働きがい創出を目指してカフェ事業にチャレンジした。

 事業開始に向けて、久山珈琲(福岡県久山町)からコーヒー販売に必要な機材やノウハウに関する支援を得るとともに、スタッフの指導役となる社員が研修を受けた。豆も久山珈琲が監修し、社員で試飲を繰り返してブレンドの配合を決めた。

 カフェはセンター内のラウンジに4月11日にオープン。店名は多様性をイメージして「にじいろ珈琲」とした。営業時間は平日12時30分から約1時間。同社門司事業所に所属する障がい者スタッフの石丸志音さんと松元一華さんが接客対応し、指導係の中尾純子さんが会計をサポートしている。

 

 役割を分担

 3月に開始した石丸さんと松元さんに対するトレーニングでは、中尾さんは開店準備から販売までの工程表を事前に作成。まずは石丸さんが「水係」、松元さんが「豆係」と役割を分け、それぞれの仕 事を覚えてもらうことから始めた。

 準備作業は、松元さんが1回分(10杯分)の豆をひき、フィルターを敷いたドリッパーに粉を入れてメーカーにセット。続いて石丸さんが量った1・9㍑の水を注いでコーヒーを抽出し、できたコーヒーは専用ポットに移して保温する。

 初めの頃は指示を受けたり、工程表を確認したりしながらの作業だったそうだが、今ではスムーズに準備をこなす。当初ばらつきがあったカップに注ぐ約180ccの目分量もほぼ均一になった。

 中尾さんは「指示なくできるようになった姿にとても成 長を感じており、教えがいがあります。2人の役 割を交代するとともに、次はアイスコーヒーにもチャレンジしようと思います」と2人の頑張りをたたえる。

 

 社員ら憩う

 カフェにはランチを済ませた社員や研修生らが立ち寄り、1日平均50杯を売り上げる。利用者の1人は「出来たてのコーヒーを味わえ、とてもありがたいです」。同センターの遠藤理恵所長は「おいしいコーヒー、とびきりの笑顔とあいさつで心が和みます」と喜ぶ。

 石丸さんは「この仕事を始めて準備は大変ですが、お客さまの笑顔が見られてすごくうれしい気持ちになります」、松元さんは「おいしかったというひと声がとてもうれしいので、これからも頑張ります」と笑顔で語る。

 現在は石丸さんと松元さんのみが対応可能で、2人はカフェの仕事を終えた後、本来業務に戻っている。同社は今後、他のスタッフへの拡大を検討している。

検索キーワード:JR九州

822件見つかりました。

261〜280件を表示

<

>