交通新聞社 電子版

特集 JR西日本不動産開発 「健都イノベーションパークNKビル」竣工・稼働開始

2022.05.09
「健都イノベーショパークNKビル」の外観

 健康関連分野新たな産業拠点に

 企業・研究機関が集う

 賃貸ラボ・オフィスも

 JR西日本不動産開発が大阪府吹田市・摂津市の北大阪健康医療都市(健都)エリアに建設し、4月1日に稼働開始した「健都イノベーションパークNKビル」。健都のまちづくりの方針に沿って、研究環境を提供するオフィスビルとなっており、健康・医療関連の研究機関・企業が入居するほか、4階には時間単位でラボ(実験スペース)をレンタルできる「ターンキーラボ健都」(運営・京都リサーチパーク)を整備。医療・健康関連分野の企業・研究機関が集まる産業拠点形成に寄与していく。(秋元 尚浩記者)

 健都は、国立循環器病研究センター(国循)を中心とする医療拠点の形成と、市民の健康づくりの二つの視点から、「健康・医療のまちづくり」が進められているエリア。国循の隣接地には、健康・医療関連企業の研究・開発施設の進出用地として位置付けられているゾーンがあり、ここに建設されたのが「健都イノベーションパークNKビル」だ。

 所在地は大阪府摂津市千里丘新町3ノ17。JR京都線(東海道線)岸辺駅から徒歩7分。建物は鉄骨造り7階建て。敷地面積約4430平方㍍。延べ床面線約9140平方㍍。施設の全体運営はJR西日本不動産開発。

 フロア構成は、1階の一部と2~3階は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)の研究施設として、東京から移転する「国立健康・栄養研究所」と「AI健康・医薬研究センター」が入居する。

 このうち国立健康・栄養研究所は、栄養・食生活、体の活動に関する調査・研究や、関連する指針の策定・改定に資する研究を行っている機関。AI健康・医薬研究センターは、健康・栄養分野から創薬・疾患研究にまたがるAI基盤プラットフォームの構築を推進している。

 3階の一部と5~7階は賃貸ラボ・オフィス。液体や気体などを使った実験ができるウエットラボ仕様の賃室フロアで、給排水、ドラフトチャンバーなどの大型設備を取り付けられるスペックとなっている。

 この賃貸ラボ・オフィスのフロアには、東和薬品、シミックヘルスケア・インスティテュート、サンスターの各社が順次入居する予定(一部は使用開始済み)。

 4階の「ターンキーラボ健都」は、時間単位でラボを利用できる日本初のシェアラボ。メリットには▽設備、実験機器が用意されているため、自前で研究環境を整える際に要する時間、コストを抑制できる▽小規模・短時間の利用が可能▽施設の維持管理が不要で、研究に専念できる――点が挙げられる。

 フロアは、自由度が高く、生物を用いない幅広い実験が行える「一般実験エリア」、受付、サロン、会議室を備える「中央エリア」、遺伝子組み換えを行った動物細胞や幹細胞を用いた実験が可能な「ブースエリア(P2/BSL2)」で成る。主な設置機器は、マイクロプレートリーダー、蛍光顕微鏡、RT―PCR装置、局所排気装置、安全キャビネットなど。

 運営会社の京都リサーチパークによると、施設のモデルとなっているのは、米国ボストンをはじめ、全米、欧州で展開されているバイオ系スタートアップのためのシェアラボという。

 同社では、開設の狙いについて「日本ではまだ認知度が低い業態だが、人材、技術、資本をつなぐネットワークハブの役割も担うシェアラボは、今後の日本のライフサイエンス産業の発展のためにも必要になる」と説明。

 ニーズの面でも、「現在、企業によるシェアオフィスの利用が増えているように、研究施設も時代と共にレンタルラボ、シェアラボへと変化していくと考えている」(同社)といい、今後高まっていくことを想定する。

 このほか、ビル内には、交流ラウンジ「Co・Luster lounge(ク・ラスター ラウンジ)」や、ビル利用者の多様な働き方、コミュニケーションの活発化を後押しする屋外交流スペース、リフレッシュコーナー、貸会議室、個室ブースなどが設けられている。

 1階エントランスの横にある「ク・ラスター ラウンジ」は、待ち合わせ、休憩、ビル来館者と短時間の打ち合わせなどに利用できるほか、通信・音響・映像設備を備えており、イベントやセミナーの開催が可能。

 JR西日本不動産開発、京都リサーチパークでは両社の協力により、健都が目指す関連産業の連携拠点形成や、オープンイノベーション促進に貢献していくため、同ラウンジを活用し、定期的なイベント開催や、イベントの誘致に取り組んでいく予定。

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