東急電鉄など ローカル5Gを活用した線路巡視業務 複数事業者と共同実証
24年度実装めざす
東急電鉄と住友商事(東京都千代田区)は今月から、総務省の本年度「地域デジタル基盤活用推進事業(実証事業)」で、ローカル5Gを活用した線路巡視業務に関する共同実証実験を実施する。両社は2021年度から実証を重ねており、本年度はJR九州や名古屋市交通局などでもデータ集積・解析を行う。実証期間は来年2月までを予定。異常検知率を高めて、24年度に東横線内での実装を目指す。
両社は、鉄道業界における熟練技術者を含む業界従事者減少への懸念から、作業現場の自動化・省力化と安全性向上のため、高速大容量で超低遅延、独立したネットワーク網を構築できるローカル5GとAI(人工知能)解析により、線路巡視の業務軽減を企図した。
実証実験では、電車の前方に設置した高精細カメラで撮影した映像を、ローカル5Gでクラウド上のAI解析用サーバーに伝送。各社で線路設備などの異常を解析する。
これまで係員が1日数時間かけて行っていた現地での目視確認を、AIの解析データを基に異常該当箇所のみ現地確認とし、1日数十分で行える仕組みを構築。業務効率化・高度化を図る。東横線の異常検知率は、初年度は約50%だったが、22年度は約83%に上昇した。本年度は、1回走行90%以上、同区間複数回走行で100%検知を目指す。
本年度は、複数の鉄道事業者との共同実証で、都市のほか地下、地方環境下におけるデータを集積。AIの異常解析精度を向上させ、将来、鉄道業界全体で使用できる汎用性の高いソリューションの構築を目指す。
撮影区間は、東急電鉄東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線、名古屋市交通局東山線・鶴舞線、JR九州鹿児島線(博多―福間間)、西日本鉄道天神大牟田線(柳川―大牟田間)、伊豆急行線(伊豆高原―伊豆稲取間)。西鉄と伊豆急は伝送を行わず、撮影映像のAI異常解析のみ実証予定。
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