JR九州 25年4月運賃改定を申請 全体改定率15・0%
JR九州は19日、鉄道事業の運賃・料金の上限変更認可申請を国土交通大臣に行ったと発表した。全体改定率は15・0%で、実施予定日は2025年4月1日。増収額は年間約169億円を見込み、車両・設備の更新、激甚化する災害への対応、社員の待遇改善などに充てる。運賃改定は消費税率引き上げを除き1996年1月以来29年ぶりとなる。
改定率の内訳は、普通運賃14・6%、定期運賃が通勤30・3%、通学16・0%、新幹線特急料金12・4%。
普通運賃の初乗りは現行の170円から200円となり、101㌔以上の区間は300㌔までの賃率を1㌔17・75円から19・75円に2円(11・3%)引き上げる。301㌔以上は据え置く。
定期運賃のうち、通勤定期では普通運賃改定に加えて、割引率も1カ月定期を5%、3カ月定期を5・4%、6カ月定期を6・5%見直す。通学定期の改定率は平均16・0%に抑え、割引率は変更しない。
新幹線の特急料金については、九州新幹線の一部隣接駅間の自由席利用や西九州新幹線(武雄温泉―長崎間)は、日常使いの促進を図るため据え置く。
このほか、在来線特急料金、グリーン料金、座席指定料金は改定なし。割引きっぷは、改定分相当を引き上げることを基本に、設定の趣旨を勘案して発売額を決める予定。
改定に伴う増収率は、定期外11・5%、定期18・6%(通勤22・4%、通学9・9%)、料金6・5%(新幹線特急料金9・9%)、全体で11・4%と推定。増収額は25~27年度の平均で年間約169億円を見込む。
なお、今回の運賃改定は、今年4月に見直された総括原価方式の算定方法に基づいて算出しており、災害復旧関連は過去の実績から年間約23億円を見込んでいる。
同日、本社で行われた報道向けレクチャーで、古宮洋二社長は改定の理由を「29年間やってこなかったこともあるが、安全への設備投資や物価上昇、災害対応、人件費の上昇を考えると、この程度の見直しをお願いしなければ将来の鉄道運営は苦しい」と述べ、「安全性、サービスの向上に取り組み、お客さまへの還元に努めたい」と強調した。
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