JR貨物 メディカル鉄道コンテナサービスを推進
医療・医薬品輸送の利用拡大
事業者らと連携パッケージ化 最適な解決法提案
モーダルシフト加速
JR貨物が、医薬品や医療器具などを鉄道コンテナで輸送する「メディカル鉄道コンテナサービス」の利用拡大に力を入れている。鉄道ロジスティクス本部総合物流部に設けた「コーディネートチーム」が、同社、コンテナ所有者、利用運送事業者の3者間連携でパッケージ化した最適なソリューションを提案。荷役作業を工夫し、保冷コンテナなど製品の品質保持に適した各種コンテナを手配することで、高度な輸送品質を確保する。優れた環境性など鉄道のメリットをアピールし、モーダルシフトの加速を図る。
メディカル製品の鉄道コンテナ輸送は、栄養剤などを除き、輸送品質確保の点から難しかった。近年、医薬品卸事業者や医薬品メーカーは環境への配慮から、二酸化炭素(CO2)排出量削減やトラ ックドライバーの働き方改革など、物流面の取り組みを進めている。
2社の医薬品 鉄道輸送
現在、JR貨物は医薬品卸、医薬品メーカーの2社の医薬品輸送を担う。
同社は2019年ごろから医薬品卸のメディセオ(東京都中央区)と医薬品の鉄道輸送に向けて情報交換を実施。トライアルを経て21年1月、メディセオの物流センター「埼玉ALC」(埼玉県三郷市)から「東北ALC」(岩手県花巻市)へ輸送する製品の一部について、常磐線隅田川―東北線盛岡貨物ターミナル間で鉄道の定期輸送をスタートした。
日本石油輸送の12㌳保冷コンテナ「スーパーUR」を使用し、毎週月―金曜日に各日1個を輸送。昨年1月には「西日本物流センター」(兵庫県加東市)向けにも拡大。現在は「阪神ALC」(同県西宮市)向けに変更し、東海道線東京貨物ターミナル~吹田貨物ターミナル間でも輸送している。メディセオ専用のラッピングコンテナ5個をそろえ、モーダルシフト前に比べCO2排出量を70~90%程度削減できる見込みだ。
昨年10月からは武田薬品工業(大阪市中央区)、三菱倉庫(東京都中央区)と、武田の国内特約店向け医療用医薬品輸送の一部モーダルシフトが実現した。武田製品の輸送を担う三菱倉庫メディカルチームとの情報交換が実った格好だ。
東京と北東北地区間の一部の輸送で丸和通運の12㌳冷凍コンテナを使用し、隅田川―盛岡貨タ間で毎日コンテナ2個程度を鉄道で輸送する。CO2排出量は約60%削減できる見込み。今後はさらに輸送エリアや特約店の拡大を目指す。
ガイドライン準拠めざして
医薬品などの輸送は、各社が振動対策や温度管理など品質管理のための適正流通(GDP)ガイドラインを定めている。ガイドラインに準拠した鉄道輸送を実施するため、配送先のバースで鉄道ダイヤに合わせたオペレーションを組むことによる荷役時間の確保や、列車の遅れ・運休時の連絡と代替トラックの輸送体制の構築といったBCP(事業継続計画)対策などの検討も進めている。
温度帯管理に関しては、温度管理が可能なエンジン付きコンテナの使用や、製品を梱包(こんぽう)する保冷バッグなどの利用により、保冷の持続時間を48時間から72時間とした上で、コンテナ内部への断熱材の設置などで対応する。また、遅れなどに備えて在庫に余裕のある医薬品を輸送の対象とするなど、工夫と調整を重ねている。
JR貨物と荷主の双方が対応策を積み重ね、荷主各社がガイドラインの求める輸送品質を確保できると判断した上で鉄道輸送が実現する。
昨年12月に設置したコーディネートチームは、保冷、定温、防振など各種コンテナのリース・レンタルを手掛けるコンテナ所有者、利用運送事業者と連携。メディカル分野で鉄道利用の打診があった際は、最適な輸送スキームをパッケージとして提案する。12月に開催したウェブセミナーでも周知を図るなど、知名度アップに努めている。
同部の五島洋次郎部長は「現在の輸送量は2社で月にコンテナ150~200個程度。まだ認知度は低いため、医薬品卸、医薬品・医療機器メーカー、物流会社のメディカルチームの〝3方面〟へ、鉄道輸送が可能であることを積極的に働き掛け、今後数年間で輸送量の倍増を目指したい」と目標を語る。
検索キーワード:阪神
213件見つかりました。
181〜200件を表示
-
2023.11.14 民鉄・公営・三セク 決算・財務
24年3月期第2四半期決算 阪急阪神ホールディングス
ホテル、鉄道回復で増収増益【阪急阪神ホールディングス】 ホテルの宿泊需要、鉄道利用の回復や、エンタテインメント事業で阪神タイガースが18年ぶりに優勝するなどス
-
2023.11.10 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
阪急 大阪梅田駅 移転開業50周年企画 歴史パネル展や催し
阪急電鉄は、23日に現在の大阪梅田駅が移転開業して50周年を迎えることを記念した企画を展開している。
-
2023.11.10 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
土佐くろしお鉄道 「阪神タイガース応援列車」撮影会を開催
高知県の第三セクター鉄道・土佐くろしお鉄道は11日、プロ野球・阪神タイガースの38年ぶりの日本シリーズ優勝を記念して「阪神タイガース応援列車」撮影会を開催する
-
2023.11.10 民鉄・公営・三セク 営業・事業・車両
阪神・近鉄 初詣・初旅に便利なきっぷ
阪神電気鉄道と近畿日本鉄道は、阪神・近鉄沿線の初詣・初旅に便利な阪神版「伊勢神宮初詣割引きっぷ」と「阪神・近鉄新春 1day チケット」を発売する。
-
2023.11.10 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
阪急阪神ホテルズ ホテル経営と運営に専念
阪急阪神ホテルズは2024年4月、保有する資産(土地・建物)について不動産事業を担う阪急電鉄と阪急阪神不動産に移管し、ホテル経営と運営に特化した会社に変更する
-
2023.11.10 民鉄・公営・三セク 施設・機器
阪急 「sononそのだ」22日グランドオープン
阪急電鉄、阪急阪神不動産、阪急阪神ビルマネジメントの3社は、リニューアルを進めている阪急園田駅の高架下商業施設「園田阪急プラザ」の名称を「sonon(そのん)
-
-
2023.11.09 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
近鉄・阪急・阪神 タッチ決済サービス 24年から開始
近畿日本鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道は2日、2024年内に各社全駅(一部を除く)でクレジットカードなどのタッチ決済による乗車サービスを開始するとそれぞれ発表し
-
-
2023.11.07 民鉄・公営・三セク 営業・事業・車両
阪神 「TORACO号」「トラッキー号」を連結 本線で運行
阪神電気鉄道は10日から12日まで、プロ野球・阪神タイガースの日本一を記念し、武庫川線で運行する「TORACO号」「トラッキー号」を連結、4両編成とした特別仕
-
-
2023.11.06 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
阪神 タッチ決済対応の鉄道乗車サービス 24年から
阪神電気鉄道は2024年から、阪神電車の全駅でタッチ決済対応のカード(クレジット、デビット、プリペイド)や同カード機能を有したスマートフォンなどによる鉄道の乗
-
-
2023.10.31 バス・タクシー 予定・計画・施策
阪急バスなど 「お客様感謝Day2023」を開催
阪急バス、阪急観光バス、阪急タクシー、阪急阪神エムテックの4社は11月4日、兵庫県西宮市の商業施設「阪急西宮ガーデンズ」東隣りの大型駐車場で「お客様感謝Day
-
2023.10.31 民鉄・公営・三セク 予定・計画・施策
阪急阪神不動産 スペイン味わう3日間 大阪フードラボで
阪急阪神不動産は11月2~4日、阪急電鉄中津駅近くの高架下 施設「OSAKA FOOD LAB(大阪フードラボ)」で、スペインをテーマにした食のイベント「WO
-
2023.10.25 民鉄・公営・三セク 営業・事業・車両
阪神 再発売「SMBC日本シリーズ なんば線シリーズ記念乗車券&入場券セット」
阪神電気鉄道は28日、「SMBC日本シリーズ なんば線シリーズ記念乗車券&入場券セット」を各駅長室(大阪梅田・尼崎・甲子園・御影・神戸三宮・新開地)で再発売す