交通新聞社 電子版

墨滴 10月24日付

2023.10.24

 先日、テレビの歴史番組で、戦国時代に北条氏の本拠地として栄えた小田原城(神奈川県小田原市)を取り上げていた。武田信玄や上杉謙信の猛攻にも耐えた難攻不落の名城として知られる▼本丸の西側は現在、大きな切り通しの下をJR東海道線と箱根登山鉄道が通っているが、この空間は人工的に造られた大きな堀切の跡で、幅40㍍、深さは20㍍もあり、戦国時代でも最大規模という。両線とも何回も通過しているが、不勉強にして初めて知った。スケールの大きさが小田原城の強大さを雄弁に物語る▼城と鉄道といえば、JR水郡線に乗ると水戸駅を発車してすぐ、水戸城の大きな空堀の中を通過する。空堀の底を鉄道敷地に転用したもので、茨城県立水戸第一高等学校に渡る橋の上から下の線路を眺めると、徳川御三家の一つ、水戸藩の城が鉄壁の守りを誇っていた様子を実感できる▼このほかにも、福山城の至近に設置されたJR福山駅や、江戸城の外濠(そとぼり)に沿って敷かれたJR中央線、かつて名古屋城の堀の中を通っていた名古屋鉄道瀬戸線など、鉄道とかかわる城は全国にあり、知られていない実例もまだまだありそうだ▼折しも茨城県内では、JRグループ旅客6社と「茨城デスティネーションキャンペーン」を開催中。芸術と文化の秋に、鉄道と城の歴史に思いをはせる旅も悪くない。

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