ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター「沿線価値観ポートフォリオ」を開発
特徴把握し活性化戦略策定
ジェイアール東日本企画(jeki)駅消費研究センターは、沿線に対するイメージを六つの志向で捉える「沿線価値観ポートフォリオ」を開発した。沿線ごとに6志向を指数化し、強弱を見ることで沿線の特徴が把握でき、それぞれの志向をより充足させるための施策など、沿線ごとの活性化戦略策定に役立てられるとしている。
同センターでは2022年から、鉄道沿線に関する研究に力を入れている。昨年の調査では、JR中央線または東急電鉄東横線と聞いた際に連想することを自由記述で聴取し、内容が類似するワードをグループ編成して整理した。
その結果、沿線イメージには▽沿線を資産価値を高める資源と捉える「資産価値志向」▽沿線を交通手段と捉える「交通手段志向」▽メディアから情報を吸収しイメージを持つ「メディア情報志向」▽他者の評価に合わせた沿線のイメージを持つ「他者評価志向」▽沿線を店舗などのさまざまな機能の集合として捉える「生活利便志向」▽沿線を記憶やエピソードが蓄積された場として捉える「生活情緒志向」――の6志向があることを明らかにした。
この6志向を用い、昨年12月から今年1月にかけて関東34路線の鉄道利用者約1万人に対し、それぞれの沿線居住者が6志向をどの程度持っているか、アンケート調査を実施。資産価値志向として「この沿線は資産価値が高い」など、6志向それぞれに該当する評価項目を提示して、「そう思う」から「そう思わない」まで5段階で評価してもらった。
その結果、沿線ごとに6志向のそれぞれの強度が異なることが明らかになった。例えば、路線Aでは6志向が同程度のスコアとなり、路線Bでは「交通手段」が最も高く、次いで「生活利便」に。路線Cでは「生活利便」と「生活情緒」が高くなっている。
A線は比較的ばらつきが少なく、バランスが良いが、突出した価値観がない。B線は「交通手段」「生活利便」のスコアが高いため、「交通手段」の強化として混雑緩和や有料座席サービスの導入、「生活利便」として駅ビル開発を重点的に行う……といった戦略が考えられる。
同センターでは、沿線ランキングのような優劣をつけるのではなく、6指標のバランス(=沿線の個性)を把握し、それぞれの沿線の戦略策定につなげてもらうため、スコアを指数化しポートフォリオとした。沿線間ではなく沿線内での6指標の比較となり、どのような価値観の沿線か把握できる。戦略として、スコアの高い価値観をさらに伸張させることが考えられる。
これまで沿線活性化では、「にぎわい」「選ばれる」といった優劣をつけるような指標が採用されてきたが、「沿線価値観ポートフォリオ」を用いることで、沿線によって戦略的な活性化の方向性を探ることが可能になるとしている。
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