交通新聞社 電子版

墨滴 7月28日付

2023.07.28

 西日本鉄道の西鉄天神大牟田線試験場前駅が来年3月に名称変更される。最寄りの医療機関からの要望に応えたもので、「聖マリア病院前駅」となる。10年越しの念願がかなったそうだ▼以前から何の試験場だろうと漠然と思ってはいたが、これまで調べずにいた。資料によると、天神大牟田線の前身である九州鉄道時代の1933年に開設され、当時駅前にあった工業試験場に由来する。同試験場は90年に移転したが、駅名はそのまま使われてきた▼西鉄では駅名変更の条件として、「公共、公益性の高い施設からの要望で、サービス向上につながると判断でき、名称変更にかかる応分の費用負担をいただいた場合」と定める。2008年には西鉄グループの筑豊電気鉄道「希望が丘高校前駅」(旧・土手ノ内駅)が同校からの要望で実現した▼10年前にも病院側から変更の要望があったが、協議の末に見送られたという。駅名標の変更や券売機などのシステム改修にかかる多額の費用負担が高いハードルとなったと思われる▼今回実現できたのは同じ線区の新駅「桜並木」開業と重なったことが大きい。単独での変更に比べて負担は軽減される。実態に即した駅名となり、遠方から通院する利用者にも分かりやすくなる。今回のように名称だけ残る駅は他にもある。機を見て地域にふさわしい名称への変更が進むことを望む。

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