国交省 地方鉄道向け無線式列車制御システム 技術評価検討会で中間とりまとめ 伊豆箱根鉄道大雄山線で検証
国土交通省は13日、「地方鉄道向け無線式列車制御システム技術評価検討会」(委員長・中村英夫日本大学名誉教授)の第7回会合を省内とオンラインで開催し、開発成果として「中間とりまとめ」を公表した。2024年度から伊豆箱根鉄道大雄山線での導入に向けて、同線全線で検証走行試験を進め、導入に向けた最終的な判断を行う。最終とりまとめも同年度末を予定する。
同省は19年度に国がテーマ設定し、技術開発の委託調査を行う「鉄道技術開発・普及促進制度」を創設。地方鉄道が負担に感じる地上設備の故障対応や保守メンテナンス負担の軽減に向け、地上設備を削減した地方鉄道向け無線式列車制御システムの開発を日本信号に委託した。
並行して同年度に有識者や鉄道総研など研究機関、関連団体などを委員とし、JR旅客各社をオブザーバーとする同検討会を立ち上げ、開発内容につい、導入・普及のしやすさや安全性などの観点で評価を行ってきた。
日本信号では、軌道回路による列車在線位置検知と信号機の現示などによる固定閉そくの従来のシステムや、常時無線通信で自列車と先行列車の位置を基に列車速度を制御する移動閉そくのシステムとは異なり、駅付近のみ無線通信を行い、駅間は列車1編成のみ走行する固定閉そくとする方向で検討。制御装置を集約、地上信号機や軌道回路などを不要とすることで、メンテナンスの負担を軽減するシステム(理想形)構成とした。
その上で、大雄山線をモデルに▽現行システムの活用▽システム運用を大きく変更しない――という条件で、理想形を踏まえたシステム構成を検討。連動装置設置駅に制御装置を分散配置するシステム(新システム)を構成した。
無線についても、鉄道会社が列車制御システム用に確保する専用無線ではなく、理想形では公衆無線、新システムでは社内の他のシステムと併用できる汎用(はんよう)無線の活用とした。
中間とりまとめでは、理想形、新システムそれぞれについて安全性評価を行い、新システムについては大雄山線で21年度から毎年度、夜間の現車試験で位置検知の精度やシステムの安定性などを調べ、基本的な安全性などを確認。実用化に向けた開発がおおむね完了したと判断した。
新システムでの踏切制御は現時点では行っておらず、また、列車在線位置の確認については軌道回路ではなく走行情報を基に位置情報を管理。速度検出用タコジェネレーター2台を使った設備構成で安全性評価を行った。
今後、同1台と加速度センサーや衛星測位システム(GNSS)などの補助手段を組み合わせた構成などで安全性評価を進めるとともに、検証走行試験を行う。併せて車両改造や踏切制御、導入費用などの検討を深度化していく。
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