日本鉄道施設協会 「2023年度(第38回)総合技術講演会」 土木工事施工部門 交通新聞社賞
交通新聞社賞【土木工事施工】
大ターミナル横浜における経年90年超のこ線人道橋撤去
~JR6線を跨ぎ、かつ上下を架線に挟まれた狭隘空間における施工~
JR東日本東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
宇髙玲衣
JR横浜駅起点方の内海川こ線人道橋の閉鎖に伴い、横浜市から委託を受けてJR線路上空約36㍍のこ線人道橋の撤去を行った。こ線人道橋の構造は上部工が6径間連続のトラス桁、下部工が海外製の古いレールを組み合わせた柱となっていた。
JR線路上空にあるこ線人道橋を撤去するためには、日々の列車運行を確保しながら行わなければならない。そのため、周辺施設や軌道内鉄道施設物への影響を最小とした撤去計画とした上で、トラス構造の形状を維持したままで1本ずつ鋼材を解体する。電車線近接施工のために短時間の停電間合いで撤去作業を完了することが課題となった。
施工環境を整理すると、こ線人道橋の一括撤去は難しいことが判明。トラスの上弦材、斜材、垂直材を1本ずつ切断して人力で撤去、下弦材は軌道内に載線したクレーンで撤去することにした。
トラス撤去では一部腐食している箇所が見つかった。JR上空部分の撤去順序は西側の階段部分に水平力を負担させるため東側から順次撤去。事前に全ての鋼材にナンバリングし、切断位置について管理を行った。また、撤去時の作業時荷重としての可能な作業員は2人で、部材切断作業者以外の作業員の立ち入り防止措置としてプラチェーンを切断箇所ごとに設置し、立ち入りを管理した。
短時間での撤去作業を確実なものとするために、当日のサイクルタイムを見直した。また、事前に架線固定金物、起終点の碍子(がいし)の事前撤去を可能とした上で、下弦材のたわみへのリスク管理を行った。施工区間ごとのリハーサルも実施し万全を期した。
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