JR九州 24年3月から香椎線で「GoA2・5自動運転」開始
ATS区間初
JR九州の古宮洋二社長は11月30日の定例会見で、2024年3月から香椎線で運転士以外の係員が前頭乗務する「GoA2・5自動運転」を開始すると発表した。同線(西戸崎―宇美間)の営業列車で行うATS―DKをベースとした自動列車運転装置による実証運転に対する評価を踏まえたもので、ATS(自動列車停止装置)区間での自動運転は全国初の試み。今月から自動運転乗務員(GoA2・5係員)の養成をスタートさせる。
今月、乗務員養成を開始
同社は、少子高齢化や人口減少が進む中、鉄道ネットワークを長期的に維持していくため、安全性を維持・向上しながら業務運営の効率化を推進。また、将来にわたる労働力人口減少の中で必要な人材確保のため、作業の自動化や機械化に取り組んでいる。
今回の自動運転に関する取り組みは、中期経営計画(2022―2024)の「経営基盤の強化―DX推進」に掲げたオペレーション改革の一環。同社は既存設備を最大限活用して設備投資を極力抑え、安全かつ低コストの自動列車運転システムの実現を目指して、17年3月に検討を開始した。
従来の自動運転システムが信頼性に優れるATC(自動列車制御装置)をベースにしているのに対し、同社の自動運転システムは一定の信頼性を持つATS―DKに、保安装置と同等の信頼性とフェールセーフ性を有する高機能ATO(自動列車運転装置)を組み合わせることで、ATCと同等の安全性を担保した。
実証運転は、日本信号と共同開発した同装置を819系「DENCHA(デンチャ)」1編成(2両)に搭載し、20年12月から香椎線西戸崎―香椎間で運転士が乗務する自動運転(GoA2・0)を開始。昨年3月から同線全線に拡大し、対象列車が大幅に増加した。
今年3月にはさらに対象列車を増やし、現在は全体の67%に当たる1日110本で実施している。これまでの総走行距離は53万㌔以上、総停車回数は31万回以上に上り、停車位置の修正や大きなトラブルは発生していないという。
この実証運転による安全性の検証結果を基に、第三者委員会の「ATS―DKベースGoA2・5自動運転 実現検討委員会」では今年8月、国の「鉄道における自動運転技術検討会とりまとめ」を踏まえ、同社の自動運転システムが技術基準省令を満たす安全性を有すること、さらに前頭乗務係員には運転士免許を要しないことを確認した。
同社は来年3月のGoA2・5自動運転開始に向けて、10人程度の自動運転乗務員を養成する計画。当初は香椎線を走る列車の約2割に自動運転乗務員が乗務する見込み。
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