交通新聞社 電子版

墨滴 11月6日付

2023.11.06

 ここ最近、よく聞くようになった単語が「ライドシェア」。単純に訳せば相乗りだが、今話題になっているのは、一般の人がお金をもらいマイカーで人を運ぶものだ▼道路運送法第78条は、自家用自動車は原則「有償で運送の用に供してはならない」としている。災害緊急時など例外もあるが、過疎地などの「自家用有償旅客運送」であっても国の登録が必要となっている。そうした中、岸田文雄首相が所信表明演説でライドシェア検討を表明した▼課題とされるのは、同じく地域交通維持の手法として取り上げられることのある自動運転同様、安全性の確保や事故時の対応など。さらにライドシェア特有の課題として、事故時の補償や犯罪に巻き込まれる可能性、タクシーをはじめ他輸送機関の衰退を懸念する人もいる▼今夏、登山口近くのバス停から、より山頂に近い別の登山口まで、他の人が頼んでいたタクシーに同乗させてもらう機会があった。聞けば村内唯一のタクシーで、同乗した4人のうち1人は予約しようとしたものの車がないと断られていたそうだ▼このケースでは、ライドシェアはタクシーが予約できない場合の選択肢の一つにとどまるが、地域の状況によっては日常生活での命綱になるケースもあるだろう。スピード感と課題対応のバランスを取りつつ、地域の足の確保につながることを願う。

検索キーワード:自動運転

119件見つかりました。

41〜60件を表示

<

>