JR東海 イノベーション創出などで連携協力協定 神奈川県、相模原市と
リニア神奈川県駅開発契機に
橋本駅南口に「R&D拠点」
JR東海と神奈川県、相模原市の3者は1日、JR橋本駅前のリニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)の周辺開発を契機とした「さがみロボット産業特区」におけるイノベーションの創出促進を目的に、連携協力協定を締結した。同社は、ロボットの実用化や宇宙開発に関する研究開発、産業集積の促進を図る同県と、企業誘致や起業支援を進める同市の取り組みに協調し、イノベーション創出促進事業を始める。その一環として2024年春に、橋本駅南口付近に「R&D(研究開発)拠点」を建設、運営する。3者は、それぞれが持つ資源を有効に活用して、特区でのイノベーション創出を加速させる。
連携・協力事項は、①ロボットの実用化、宇宙開発、新素材発明などに関する研究開発の推進②R&D拠点の整備・運営③企業誘致の促進、起業の支援④企業、研究者、学術機関の交流促進⑤循環型社会の形成⑥その他目的達成に必要な事項――の6項目。
同県が推進する「さがみロボット産業特区」は、同市など12市町を対象に、13年2月に地域活性化総合特区として国の指定を受けた。生活支援ロボットの実用化を目指して、ロボット開発や関連産業の集積促進に取り組んでいる。
また、相模原市は、製造業を中心とした企業の集積や、大学、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究所といった立地特性を生かして、企業誘致、起業支援、スタートアップ企業の育成を推進。イノベーションの創出で産業活性化を図っている。
一方、神奈川県駅周辺の街づくり推進に協力するJR東海は、沿線都市と移動の価値向上に向けて、R&Dセンターの運営を視野に入れた事業開発の検討を進めていたところ、同市が公募したイノベーション創出促進拠点運営委託事業に応募し、選定された。これを受け、新規事業として「イノベーション創出促進事業」を立ち上げる。
新事業では、有識者を交えて、日常生活を豊かにするための技術の社会実証、社会実装を行っていく。新幹線車両や超電導リニアの先端技術開発、地域社会とのつながりといった同社の実績を生かす。自動運転モビリティー技術を有するスタートアップ企業・ティアフォー(名古屋市中村区)の加藤真平氏の協力も得る。
来年初めには、市民らに向けて先端技術関連のイベントを実施し、事業者や研究機関の交流を促進するセミナーも開催する。R&D拠点(延べ床面積約323平方㍍)は来年春までに建設し、運営する。
同日はJR東海品川ビル(東京都港区)で協定締結式が行われ、丹羽俊介社長、黒岩祐治県知事、本村賢太郎市長が出席。
黒岩知事は「ロボットあふれる街として〝降りたくなる駅〟にしていくことが重要」、本村市長は「イノベーション創出の世界に先駆けた拠点にしていきたい」とあいさつ。丹羽社長は「県や市と連携して、沿線の皆さまが将来にわたって希望や豊かさが感じられるイノベーションの創出に貢献していきたい」と述べた。
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