東武 「東武グループ中期経営計画2024~2027」を策定
持続的成長実現へ 長期ビジョン見直し
東武鉄道は、本年度から4カ年の「東武グループ中期経営計画2024~2027」を策定した。22年度から取り組んでいた3カ年の「中期的な事業計画」では、主にコストコントロールの評価指標(KPI)を掲げていたが、目標数値を23年度までに前倒しで達成したことから、同計画を終了して「長期経営ビジョン」を見直すとともに、新たな中期経営計画を策定した。「東武グループの持続的な成長」「人にやさしく 人と地域が共に輝き続ける社会」の実現を目指す。
前計画目標は前倒し達成
長期経営ビジョンは「『挑戦』と『協創』で進化させる社会と沿線」とした。経営の方向性として、事業環境やニーズの変化を進取する「挑戦」と、関係者との協力・連携で価値を創出する「協創」により、沿線の持続的発展、非鉄道部門の成長事業拡大を図り、グループ全体の利益を維持・拡大させる。
経営戦略方針は、▽営業利益段階における非鉄道事業割合の増加▽観光需要を捉えた収益力強化▽持続的な事業運営体制の確立――とし、重点戦略に観光やまちづくりなど成長をけん引する事業の確立、事業基盤(沿線)の継続的強化、新規事業育成、環境負荷低減と人的資本強化を掲げた。
10年後(33年度)の財務目標は、営業利益が鉄道事業300億円(23年度実績263億円)、非鉄道事業500億円(474億円)。非財務目標(30年度)は、二酸化炭素(CO2)排出量22年度比30%減、奥日光エリアのカーボンニュートラル実現とした。
一方、中期経営計画では、4年間の計画期間を、30年代に始まる東京圏の人口減少社会を見据えた新規事業育成の種まき期間と位置付けた。
主な実施計画では、成長をけん引する事業の確立として、インバウンドをはじめとする観光需要の取り込み・最大化、西新井、朝霞台など沿線中核都市開発に向けた検討、国際エコリゾート・日光の価値最大化などを掲げている。
事業基盤(沿線)の継続的強化は、人口流入拡大・定着を目指す住宅・商業開発・コミュニティー形成を推進。大師線の自動運転計画やバス路線のレベル4自動運行、QR乗車券の導入による磁気乗車券の全廃などに取り組む。
事業領域拡張を見据えた新規事業の育成では、生体認証を活用したデジタルアイデンティティープラットフォーム事業の育成、スタートアップ企業などと連携したオープンイノベーションを推進。環境負荷の低減では、日光エリアの脱炭素推進、東武アーバンパークライン5両化など長期的なエネルギーコストの低減を進める。
人的資本の強化は、退職者の再採用、専門職の中途採用、賃金体系・評価制度の見直し、新たな教育体系の整備、定年延長などを掲げる。
最終年度である27年度の経営指標想定値は、営業利益740億円(23年度実績738億円)、有利子負債/EBITDA倍率6倍台(5・9倍)、株主還元総還元性向30%以上(23・6%)、ROE8%程度(9・5%)。
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