大手民鉄15社 25年3月期第1四半期決算 人流活発化で好調めだつ
大手民鉄15社の2025年3月期第1四半期連結決算が出そろった。コロナ禍からの戻りに伴う通勤需要や外出機会の増加、インバウンド需要の拡大などにより、国内外の人流が活発化。交通関係やホテル・レジャーといった分野での好調が目立った。各社ともおおむね増収、各利益は増益となったが、東武鉄道は自治体の各種感染防止対策事業の縮減による受託収入の減などにより減収減益、近鉄グループホールディングス(GHD)は国際物流業の運賃原価高騰による利益率低下で営業利益は減益となった。
運輸、ホテルなど回復傾向
【関東9社】
運輸、ホテル、レジャー事業などが回復傾向。レジャー事業での自治体の各種感染防止対策事業の縮減による受託収入の減少などにより減収減益となった東武を除いた8社が増収、各利益も増益だった。
四半期純利益は東急、小田急電鉄、京成電鉄、相鉄ホールディングス(HD)、京王電鉄、西武HDの各社で第1四半期の過去最高となった。通期の業績予想は各社とも変更していない。
単体もしくは核となる鉄道会社の鉄道輸送人員、旅客運輸収入は全社で増加。特に、京成の成田空港発着の有料特急は輸送人員が前期比42・5%増、運輸収入44・0%増と大幅に増え、インバウンド需要の戻りが追い風となっている形だ。コロナ禍前の19年度同期と比べても、輸送人員36・9%増、運輸収入45・0%増となっている。
各社の鉄道輸送人員は、前期比で東武2・6%増、西武鉄道3・6%増、京成5・7%増、京王2・3%増、小田急2・8%増、東急電鉄3・9%増、京浜急行電鉄3・0%増、相模鉄道3・3%増、東京地下鉄(東京メトロ)5・9%増。
旅客運輸収入は、鉄道駅バリアフリー料金制度の適用による鉄道運賃への料金加算を22年度から各社で順次開始。京成は今年3月に同制度の適用を開始している。
経常、純利益は全社増益
【関西4社】
近鉄GHD、南海電気鉄道、京阪HD、阪急阪神HDの4社ともに、アフターコロナの鉄道利用の増加やインバウンド需要などにより増収となった。営業利益は、国際物流業での運賃原価高騰による利益率低下の近鉄GHDを除く3社で増益となり、経常利益、四半期純利益は全社増益だった。
各社とも通期の業績予想は変更していないが、京阪HDではレジャー・サービス業や運輸業の増収、不動産販売業の期ずれによる増収などを見込み、第2四半期の売上高、各利益を上方修正している。
鉄道輸送人員は、前期比で近畿日本鉄道1・8%増、南海5・2%増、京阪電気鉄道3・2%増、阪急電鉄2・7%増、阪神電気鉄道3・2%増。南海の空港線利用者は33・3%増と、訪日客の回復を着実に取り込んでいる。各社の旅客運輸収入の増加率は4・2%~20・7%。
輸送増や運賃改定効果
【名古屋鉄道】
3期連続の増収で、各利益は大幅な増益に。バス事業を含む交通事業は人件費や修繕費の増加があったものの、輸送人員の増加や今年3月の運賃改定の効果もあり増収増益となった。通期の業績予想は変更ない。
単体の鉄軌道輸送人員は前期比2・3%増、旅客収入12・2%増。レジャー・サービス事業は観光需要の回復でホテル業や観光施設事業を中心に増収となったが、旅行業の減益により全体では減益だった。
不動産事業は分譲マンション販売の引き渡し戸数が増加したことに加えて、賃貸業の増収もあり増収増益。流通事業は店舗閉鎖による百貨店業の減収はあったが、その他物品販売業の増収により全体で増収。不採算店舗の閉鎖による百貨店業の収支改善もあり赤字幅は前期よりも縮小した。
輸送人員、運輸収入は好調
【西日本鉄道】
国際物流事業で高止まりしていた販売価格の低下などで減収となった一方、マンション販売戸数の増、ホテル事業で客室単価の上昇などにより、全体では増収に。持ち分法による投資利益の減少で経常利益は減少、固定資産売却益の減で四半期純利益も減少した。通期の業績予想は変更ない。
運輸業は鉄道事業における旅客人員の回復などにより、売上高6・8%増、セグメント利益49・4%増。鉄道輸送人員は4・3%増、旅客運輸収入は4・4%増と好調だった。
不動産業は住宅事業でマンション販売戸数が増加したことや賃貸事業でのホテル施設の賃貸収入の増加などで増収増益。物流業は国際物流事業で一部では荷動きの回復があったものの、高止まりしていた販売価格の低下などで減収減益だった。
レジャー・サービス業は、ホテル事業での客室単価の上昇や昨年8月に開業した「ソラリア西鉄ホテル台北西門」の寄与などにより増収増益だった。
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