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ジェイアール東日本企画 成長続ける「ベビカル」

2024.09.11
㊨外出先で気軽に利用できるベビカルのイメージ㊧森さん(ジェイアール東日本企画提供)

 子育て世帯、外出時に便利 北海道から沖縄まで拡大

 ジェイアール東日本企画(jeki)が運営するベビーカーレンタルサービス「ベビカル」が、子育て世帯の外出時に便利なサービスとして成長を続けている。外出先でベビーカーを持ち出し場所の制限なく利用できるもので、JR東日本グループ全社員を対象とした新事業創造プログラム「ON1000(オンセン)」で同社社員のアイデアを採択。2021年4月からサービスを開始した。現在、貸出場所は北海道から沖縄県まで全国229カ所(10日現在)まで拡大し、利用件数も増加している。

 

 ベビカルは、jekiの森祐介さん(現・同社jeki―X部長、現在もベビカル事業を担当)が提案し、事業化が決定してスタートした。運営は、JR東日本とjekiの共同出資で設立したJREベビーカーシェアリング有限責任事業組合(LLP)によって行われてきたが、今年4月にjekiに移管された。

 

 気軽に外出を

 サービスのベースには、「目的地の最寄りの場所でベビーカーを借りて、返すことができたら、子育て世帯の方たちがもっと気軽に外出できるようになるのではないか」(森さん)という考え方がある。

 鉄道、バスなどの公共交通機関を利用する場合は、目的地へのアクセスが便利だったとしても、混雑によってベビーカーが利用しづらい状況が発生し得る。また、目的地の商業施設やレジャースポットでベビーカーを借りられる場合でも、利用できるのは施設内に限られることが多い。

 そうした中、ベビカルは、公共交通機関はベビーカーなしで移動し、目的地の最寄り駅やバス停で下車した後、ベビーカーを借り、場所の制限を受けず利用できるものとなっている。

 もちろん、自宅の最寄りでベビーカーを借りて、鉄道で出掛けるという使い方も可能。最大で7日間借りられるため、旅行にも対応する。ウェブサイトで14日前から予約でき、安心してスムーズに利用できるのもセールスポイントだ。

 

 お手軽な料金

 料金は、最初の1時間が250円、以降30分ごとに100円。12時間最大1500円(日をまたぐ場合、0~8時は課金されない)を基本としており、手軽に利用できる水準にあるといえる。

 サービスは、首都圏主要駅を中心とする貸出場所18カ所でスタートしたが、東日本エリア外でも貸出場所を増やしつつ、22年10月に100カ所、今年4月に200カ所を達成。事業スキームは加盟店方式で、ジャンルはJR、私鉄の駅、商業施設、観光案内所、ホテル受付から、コンビニエンスストア、カフェ、ガソリンスタンドなどまで幅広くなっている。

 形態としては、店舗係員などが利用者に対応する有人の貸出場所が175カ所と大部分を占めるが、首都圏の主要駅など一部では無人機(46カ所)による貸し出しも行われている。ここ数カ月の利用件数は、対前年同月比120%で推移。平均利用時間は10時間前後。

 

 訪日客も利用

 さらに、訪日客の利用も多く、総売り上げのうち、約2割を占めているのも特筆される。この背景には、LCC(格安航空会社)の航空機にベビーカーを持ち込みにくい事情などがあり、来日後にベビカルを利用し、小さな子どもとの旅行を楽しんでいるとみられる。

 サービス面では、北海道内のガソリンスタンドなど6カ所と、JR西日本レンタカー&リースが運営する「駅レンタカー岡山営業所」で7月下旬から、新たにチャイルドシートの取り扱いを開始した。カーシェアサービスにチャイルドシートのサービスがない場合などを踏まえた施策で、既に一定の利用があるという。

 なお、ベビカル加盟店とjekiとの関係については、加盟店側は店舗係員らによるベビーカーの貸し出し・返却の窓口対応、ベビーカーの保管・点検・清掃などを実施。同社は売り上げに対して歩合を支払う。加盟店側に初期費用、ランニングコストは発生しない。

 

 高い潜在需要

 貸出箇所(加盟店)数は順調に増えているが、「潜在的なニーズや、子育て世帯が気軽に外出できる社会の実現というテーマを考えれば、まだ全然足りない。引き続き、地道な営業努力を重ねるとともに、加盟店と一緒になったキャンペーン施策なども行い、ベビカルのさらなる周知につなげて事業拡大を図っていきたい」(森さん)としている。

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