交通新聞社 電子版

墨滴 5月21日付

2024.05.21

 西九州新幹線武雄温泉―長崎間の開業から約1年8カ月が過ぎたが、佐賀県内を通る武雄温泉以東の区間は整備方針すら白紙のまま。着工条件となる同県の同意が得られていないためだが、今月になって新たな動きを見せた▼地元での新しい合意形成が必要と主張する佐賀県の山口祥義知事の呼び掛けで、長崎県の大石賢吾知事、JR九州の古宮洋二社長の3人による初めての意見交換会が13日に同社本社で開かれた。非公開の会談は約2時間に及び、多岐にわたる議論が行われたのではないか▼会談後、報道陣の取材に応じた大石知事は、新幹線開業効果や関西との直通運転の重要性を話したという。佐賀県が難色を示す費用負担やルートの問題については「国を交えて議論すべき」と4者での協議を提案したが、意見は一致しなかったそうだ▼古宮社長も4者協議の必要性を述べたが、気になるのは山口知事が語った「新しい組み立て(合意)は難しいと思った」との言葉。大石知事も疑問を呈するが、そもそも佐賀県内の問題の合意に長崎県が加わることは見当違いではないだろうか▼新しい合意とは何を指しているのか。そこが全く見えてこない状況では、いたずらに協議を引き延ばしている印象しか残らず、山口知事は問題の中身を明確に示すべきではないか。その上で国を交えて4者で解決策を探る真摯(しんし)な姿勢を見せてほしい。

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