JR九州エンジニアリング 新型「HCⅡ型車輪旋盤」を開発 JR九州総合車両センターに導入
JR九州エンジニアリングは、新型「HCⅡ型車輪旋盤」を開発し、JR九州小倉総合車両センター(北九州市)に導入した。ニーズに応じてカスタマイズ可能なオリジナル設計で、高精度かつスピーディーな切削に加え、既存ピットを再利用でき、切り粉の飛散を抑える構造を採り入れるなど、経済性や安全性にも優れている。
HCⅡ型は、同社が製造販売していた従来型の車輪旋盤をベースに、培ってきた鉄道技術のノウハウを生かし量産タイプとして開発。名称の「HC」はハイエンドカスタマイズモデルの略で、高性能かつ必要な機能を自由に組み合わせられるのが最大の特徴。
オリジナル設計の強みを生かし、ニーズに応じたあらゆるカスタマイズに対応。ブレーキディスク切削機能や、歯車箱や減速機が付いた輪軸をリフターで自動セッティングできる機能も備える。
また、多くの鉄道会社で使用されている旧日立精機製の車輪旋盤と入れ替えができる仕様としたため、既存ピットの再利用が可能。土木・基礎工事が不要となり、大幅なコストダウンと設置工事の期間短縮が図られる。
性能面では、仕上削正で踏面フレ0・15㍉以下の高精度を実現し、列車乗り心地の向上に貢献する。最大10㍉の切り込みが可能という高い切削スピードを誇り、作業時間の短縮による業務効率化が期待される。
このほか安全面にも配慮し、切削部のバイトを従来と比べて下部に配置し、取り扱いが危険な切り粉の飛散を抑制。作業員の労働環境の改善にもつながるとしている。
11月27日には現地でJR九州エンジニアリング、JR九州、協力企業の関係者らが出席して、HCⅡ型車輪旋盤の竣工(しゅんこう)式が開かれた。
あいさつに立ったJR九州エンジニアリングの小林宰社長は「開発に3年を要してようやく完成したHCⅡ型をJR九州が導入していただき、大変感謝している。11月に開設した福岡製作所で製作する当社の主力製品として、全国各地や海外にもセールスしていきたい」と意欲を語った。
この後、関係者によるテープカットに続いて、小林社長の合図で車輪旋盤が始動し、車輪転削のデモンストレーションが披露された。
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